大地震が起きたチリは銅の世界最大の産地で、2日のLME銅先物価格3ヵ月物は一時急騰し約3週間ぶりの高値をつけたが、鉱山の被害は限定的という見方が伝わり結局0.23%上昇にとどまった。非鉄金属セクターは住友金属鉱山<5713>が5円高、三菱マテリアル<5711>が1円高、三井金属<5706>が2円高、DOWAHD<5714>が20円高と反応薄だったが、チリに銅鉱山を持つ日鉄鉱業<1515>は、現段階では特段の被害は認められないものの8円安だった。
合併後1年目の日鉄住金物産<9810>の3月期は経常利益1割増益の観測で12円高。ABCマート<2670>は2月期の営業利益が12%増で11期連続過去最高という業績観測が出て120円高と買われた。ファーストリテイリングが前日発表した3月の国内ユニクロ既存店売上高は、5ヵ月連続プラスでも前年同月が23.1%の大幅増だったため0.6%増。客数は6.4%減。業績はあまり影響しない株価は670円高だった。
リスクオンで大型主力株に投資家の目が向くと、相対的に関心が薄れるのがテーマ銘柄。ゲーム関連はenish<3667>が67円安、スクエニHD<9684>が72円安、カプコン<9697>が65円安で年初来安値更新。新興市場でもコロプラ<3668>が104円安、クルーズ<2138>が110円安とふるわなかった。
かつて4月最初の営業日の朝、まるで西宮戎神社の福男選びのようなスピード競争を演じて兜町の春の風物詩だったのが、あみやき亭<2753>とアドヴァン<7463>の3月期決算発表先陣争い。今年はあみやき亭が1日午後、アドヴァンが2日に発表して、今は昔。純利益が45%増の16億円で過去最高のあみやき亭は値上がり率2位の215円の大幅高で続伸。一方、経常利益12.3%減のアドヴァンは52円安で値下がり率10位と明暗が分かれた。なお、先陣争いには「監査法人はいつ監査するのか」など批判も少なくなかった。
この日の主役は「地方銀行」。静岡銀行<8355>が7日にオリックス<8591>から19.54%分の株式を相対取引で取得してマネックスG<8698>の筆頭株主になり資本業務提携すると発表。買い増して持分法適用会社にするという。静岡銀行は28円高、マネックスGは1円安。オリックスは売買代金10位の30円高と買われた。その他、日経新聞には関西の地銀が支店の設備充実で居心地の良さを競うという記事、伊予銀行<8385>がシンガポールの銀行と業務提携した記事、地銀最大手の横浜銀行<8332>と岡山の中国銀行<8382>に対し、「物言う株主」として知られる英国の投資ファンド「シルチェスター」が5%ルールで5%超の保有を公表し話題になっているという記事もあった。株価は伊予銀行は大和証券がレーティングを引き上げて5円高、横浜銀行は2円高、中国銀行は9円高で年初来高値を更新していた。
果敢な事業法人投資も、銀証連携も、個人顧客のサービス向上も、海外進出する取引先にアテンドするための海外アライアンスも、海外ファンドの投資を受けるのも、保守的と言われてきた地銀には望ましい動き。以前から日本には銀行が多すぎると言われ「地銀再編」は金融界の大きなテーマになっている。それに生き残るには「総論賛成・各論反対」で様子見している場合ではない。地元で昔から「石橋を叩いても渡らない」と言われるほどリスクテイクに消極的で、そのおかげで財務体質抜群の静岡銀行が新興のネット証券の筆頭株主に躍り出たというのは、ある意味、象徴的な出来事と言えるだろう。(編集担当:寺尾淳)