この時期、多くの企業では新人研修の真っ最中。オフィス街では、慣れないビジネススーツに身を包んだ新入社員の集団をよく見かける。そんな今年の新人の特徴は、「自動ブレーキ型」だという。
若年者の就労支援や教育の専門家などからなる、日本生産性本部の「職業のあり方研究会」によると、今年の新人は「知識豊富で敏感。就職活動も手堅く進め、そこそこの内定を得ると、壁にぶつかる前に活動を終了。何事も安全運転の傾向がある」という。「人を傷つけない安心感はあるが、どこか馬力不足」との声も。「どんな環境でも自在に運転できるようになるには、高感度センサーを活用した開発(指導、育成)が必要」とのことだ。
今年の新人は、採用活動の開始時期が3年生の12月へと繰り下げられた「短縮型就活」の第2期生。昨年の1期生のように、スケジュール変更にともなう不安は減り、効率よく内定を得た学生が多い。「ブラック企業」が社会問題となり、就職先の情報を熱心に集めて「疑心暗鬼」になる学生もいたという。
そんな学生たちの気質を研究会では、高感度センサーで障害物を敏感に検知し、事故を未然に回避する「自動ブレーキ装置」にたとえた。情報収集能力に長け、頭の回転は速いが、上の世代からすれば少し物足りなさもあるという。新入社員らに対し、研究会は「ローリスク・ローリターンの安全運転もいいが、リスクを恐れずに、前向きに挑戦する失敗から学ぶ経験もしてほしい」とコメントした。
ちなみに昨年の新人はどうだったかというと、「ロボット掃除機型」。就活期間が短くなり、効率よく会社訪問することが重要になったため、「部屋の隅々まで効率的に動き回り、家事など時間の短縮に役立つ」ロボット掃除機になぞらえた。「段差(プレッシャー)に弱く、たまに行方不明になったり、裏返しになって、もがき続けたりすることもある」とも言われていたようだ。新人の気質が1年ごとにコロコロ変わるとは思えないが、指導する側にとっては参考になるかもしれない。(編集担当:北条かや)