前週末25日のNYダウは140ドル安。NASDAQ総合指数は72ポイント下落した。ロシア軍の軍事演習、親ロシア派による国際監視団員の拘束など緊迫化するウクライナ情勢がヨーロッパ市場を全面安にし、パッとしない企業決算が追い討ちをかける。フォードは純利益が市場予測を下回り3.3%安。コスト負担増で4~6月期の営業赤字見通しのアマゾンドットコムは9.88%安と大幅に下落し、リンクトイン、フェイスブック、ツイッターなど他のIT銘柄(モメンタム銘柄)も連れ安した。28日朝方の為替レートはドル円102円台前半、ユーロ円141円台前半で、前週末からあまり動いていなかった。
25日のシカゴCME先物清算値は14330円。取引時間前に発表された3月の商業販売統計は小売業販売額全体が11.0%増。既存店売上高は百貨店25.3%増、スーパー11.1%増、コンビニは2.8%増と消費増税前の駆け込み需要の勢いを示していたが、もう過去の出来事。外資系証券の売買注文動向は売り越し。日経平均は139.44円安の14289.82円と大幅安で始まる。14300円を回復してもすぐに上値を抑えられ、午前9時50分に14224円まで下げる。26日にG7とEUがロシアへの追加制裁で合意するなどバッドニュースばかりでは先物主導の軟調も致し方なし。10時30分に始まった上海市場も香港市場もマイナスで、アジア市場は韓国を除いて全面安だった。徐々に持ち直しても14300円にはタッチもできず、前引は14262円だった。
後場も連休の谷間の薄商いの中、マイナス圏の14250円付近で株価は深く静かに潜航する。為替レートも動かない。FOMC、日銀会合の結果発表直前の営業日でも「日銀プレイ」なるものを演じるイベントドリブン勢力は舞台に上がって来ない。それでも午後2時40分頃から徐々に浮上して「14300円台でフィニッシュか?」と思わせたがあと一歩及ばずに141.03円安の14288.23円で反落した。日中値幅はジャスト100円。TOPIXは-9.25の1160.74。売買高は17億株、売買代金は1兆6371億円と薄商いが恒常化している。
東証1部の値上がり銘柄は447、値下がり銘柄は1263で全体の69%を占めた。33業種別騰落率のプラスは2業種、マイナスは31業種。プラスは水産・農林、石油・石炭。下落幅が小さかったマイナス業種は鉱業、ゴム製品、食料品、情報・通信など。下落幅が大きいマイナス業種はパルプ・紙、ガラス・土石、輸送用機器、その他金融、海運、電気機器などだった。
日経平均採用225種は値上がり38銘柄、値下がり178銘柄。プラス寄与度1位は珍客のオークマ<6103>で+2円、2位はファナック<6954>で+2円。マイナス寄与度1位は年初来安値を更新したファーストリテイリング<9983>で-24円、2位はTモバイルの買収に不透明感が漂ったソフトバンク<9984>で-21円だった。
ノンバンクはみずほ<8411>1円高、三菱UFJ<8306>7円安、三井住友FG<8316>7円安とまちまち。正午に決算を発表したJPX<8697>は今期営業利益見通しが32.5%減の345億円で市場予測の522億円を大きく下回り、137円安で年初来安値を更新し値下がり率15位。前期のような売買の盛り上がりはもう来ないと見込み、「アベノミクス相場終了宣言」に等しい。証券取引所と証券会社は一蓮托生で、野村HD<8604>は5円安で年初来安値を更新していた。
自動車大手は軒並み安。トヨタ<7203>は21円安、スズキ<7269>は96円安、富士重工<7270>は61円安で、自動車部品のデンソー<6902>も146円安。しかし前週末に決算を発表した小糸製作所<7276>は、今期の営業利益見通しが500億円で市場予測の502.5億円に届かなくても、あと0.5%なら許せる範囲内だったらしく283円高で年初来高値を更新し、値上がり率2位に入った。
電機大手はソニー<6758>21円安、パナソニック<6752>8円安、シャープ<6753>7円安など小幅な下げだったが、日立<6501>は18円安。東芝<6502>は値動きなしだった。富士通ゼネラル<6755>は今期の営業利益見通しが1.4%増の210億円で市場予測の206億円を上回り123円高で値上がり率4位。決算発表が早かった安川電機<6506>は16円安で6日続落。ジャパンディスプレイ<6740>は3月期決算の売上高を92億円、営業利益を32億円それぞれ下方修正して127円安。3月19日の新規上場時に発表した見通しを1ヵ月少々で下方修正しては心証が悪く、売買高2位、売買代金5位の売り浴びせの末、値下がり率1位に甘んじた。