日本の企業数の99.7%、雇用の約7割を占める中小企業。その経営者たちの間で、急速に高齢化が進んでいる。政府が4月末に閣議決定した14年版「中小企業白書」によると、事業の将来を悲観し、誰にも相談せずに廃業を考えるケースも増えているようだ。
1982年には、30~40代の自営業主が分厚い層を形成していた。30年前には、60代以上の自営業主は少数派だったのだ。しかし、年を追うごとに高齢者が占める割合が上昇。2002年には50~54歳の自営業主が最も多くなり、2012年には60~64歳が最多となった。若い自営業主は一向に増えず、経営者はどんどん高齢化している。今や、70歳以上の自営業主が占める割合は、過去と比較して最も高くなった。
高齢の経営者たちは、このまま事業を続けるか迷っている。中規模企業では、約6割の経営者が「事業を何らかの形で他者に引継ぎたい」と考えているが、小規模事業者では約4割にとどまる。小規模事業者では、「自分の代で廃業することもやむを得ない」と考えている経営者が約2割いることも分かった。
「自分の代で廃業やむなし」と考える経営者の実に7割が、事業承継の可能性を考えることなく廃業へと向かっている。一方、「廃業やむなし」と考える経営者のうち、約3割は事業の承継を検討した経験があるという。なぜ彼らの取り組みは、上手く進まなかったのか。最も回答が多かった理由は、「将来の事業低迷が予測され、事業承継に消極的」というもの。「後継者を探したが、適当な人が見つからなかった」という回答を上回った。中小企業の経営者が抱える悩みとして、よく「後継者不足」が挙げられるが、それよりも大きな理由は「このまま事業を続けていても、先が見えない」ことのようだ。将来に明るい見通しがもてないために、中小企業の社長たちは廃業を余儀なくされている。地域の雇用を下支えしてきた経営者たちの悩みに、行政が正面から向き合うことが求められている。(編集担当:北条かや)