5月3日、ベルギーで行なわれたWEC第2戦[スパ・フランコルシャン6時間]で、写真のトヨタ「TS040 HYBRID」が優勝。もう1台のトヨタ車も3位を確保。今季、連続優勝、2台連続表彰台を決めた。「ル・マン24時間」に向けて視界良好といえる
先般、自動車レースの「WEC(World Endurance Championship/世界耐久選手権)」と仏サルト・サーキットで行なわれる、あの有名な「ル・マン24時間レース」と有力チームについてレポートした。「ル・マン24時間レース」はWECの第3戦(6月14日-15日)に組み込まれる最も過酷な耐久レースだ。
WECの魅力は自動車メーカーのワークス部門が、最新で最高水準のテクノロジーを採用し製作したスーパーレーシングカー6時間以上の耐久戦を競うことだ。
そのWECシリーズ緒戦の4月20日の英「シルバーストーン6時間」と5月3日の第2戦・ベルギー「スパ・フランコルシャン6時間」が、ル・マンで総合優勝を勝ち取るための試金石となる。
緒戦の4月20日の英「シルバーストーン6時間」は荒天に見舞われ、ドライ路面とウエット路面に繰り返し変化。その荒れ模様の天候のなか、トヨタTS040 HYBRIDの2台が初のワンツー・フィニッシュを飾った。最大のライバル、アウディは豪雨の中クラッシュし、2台がリタイヤした。
そして、5月3日の第2戦・ベルギー「スパ・フランコルシャン6時間」である。何とここでもカーナンバー8番のトヨタTS040 HYBRIDが優勝。開幕から2連勝を飾った。もう一台のトヨタ車も3位に入り、2戦連続で表彰台に立った。ライバルのアウディは2・5・6着に入って健闘している。
このスパ・フランコルシャンの結果で、一気に「ル・マン24時間レース」トヨタ初優勝への期待が膨らんだ。「ル・マン」では2000年以降、アウディが圧倒的な強さを見せつけており、2000年から昨年2013年まで12回の優勝を果たしている。
トヨタもワークス体制を敷いて2012年からWECに参戦、6時間レースで健闘するも、24時間の「ル・マン」ではアウディの圧倒的な強さと伝統の前に屈している。
今年のトヨタ強さは、新たに投入した新型車両の「TS040 HYBRID」の信頼性の高さだ。加えて、ピットスタッフなどのチーム力、モチベーションのアップにある。
トヨタ「TS040 HYBRID」の車両開発は、次世代市販車向けスポーツハイブリッドの開発も行なっているトヨタの東富士技術研究所が担当。この新型モデルはNA(自然吸気)3.7リッターV型8気筒ガソリンエンジン(520馬力)に前輪と後輪を駆動する480馬力のモーター・ジェネレータ・ユニット(MJU)2基がアシストする4輪駆動車。システム統合出力1000馬力というアウトプットを持つ。
木下美明チーム代表は、スパ・フランコルシャンのレース後に、「本日チームが成し遂げた仕事を大変誇りに思っている。ル・マンへ向けてチーム全体のモチベーションを上げることが出来る。優勝できたのは、最高の結果を出そうと全員が頑張った結果であり、チームも、ドライバーも、皆が本当に良い仕事をした。この先、ル・マンまで厳しい時間が待っている。何度も経験してきたように、ル・マンは特別なレースで、何が起こっても不思議ではない。そのレースに向けて我々は全力で仕事をこなし、最高のチャンスを得られるように頑張って行く」と述べた。(編集担当:吉田恒)