2014年「北京国際モーターショー」で、トヨタがプレスカンファレンスで発表したメインステージのクルマは、新型「カローラ」だ。現行型に比べてなかなかアグレッシブなデザインだ。中国では現地生産の中国製ハイブリッドシステムが搭載され2015年に発売となる。
2014年4月21日から一般公開されている「北京国際モーターショー(第13回北京国際汽車展覧会)」で、トヨタがプレスカンファレンスで発表したメインステージのクルマは、同社を代表する大衆車でグローバルカーの「カローラ」だった。中国に於けるトヨタの合弁パートナーである一汽トヨタ自動車販売有限会社が取り扱う新型「カローラ」と、広汽トヨタ自動車有限会社が扱う姉妹車の新型「レビン」だったのだ。
トヨタは1964年に、初めて同社クラウンを中国へ輸出。今年、「中国への輸出50周年」を迎えたが、ここで同社を代表するカローラを発表することで、今後「中国での事業強化」に取り組むことを、集まった中国のプレスにアピールしたと言うことだ。
事業強化の具体的な内容は、2017年末までに中国市場に15モデルを超える新型車を投入すること。ならびに中国国内での生産体制を強化すると発表したことだ。
そこで今回発表のコンパクトな4ドアセダン「カローラ」&「レビン」である。ショー会場では詳細なスペックに触れられていないが、カンファレンスで挨拶した中国担当のトヨタの伊原保守副社長は、
「今回発表したカローラ&レビンは2015年に中国の皆さまにお届けするクルマです。その際には、中国製ハイブリッドシステムを搭載した新型ハイブリッド車として発表します」と述べている。
さらに続けて、「トヨタが世界に誇れる環境技術であるハイブリッドの魅力を、中国で生まれたハイブリッドカーで皆様にお届けしたい。こうした想いで、世界で初めて日本以外の国における国産化に向けた取り組みを昨年より開始しました。 具体的には、ハイブリッドのコア部品である電池製造会社や、CVTに加えてハイブリッドトランスアクスルの生産を行うTMCAP『トヨタ自動車“常熟”部品有限会社(Toyota Motor “Changshu”Auto Parts Co., Ltd)』を既に立ち上げ、インバーターの現地生産準備も進んでいます。ここ中国でのハイブリッド国産化の準備は着実に整いつつあります。トヨタにとって世界初の挑戦です」と熱く語ったのである。
5年前にアメリカを抜き去って、世界一の自動車消費・生産国となった中国。2013年1月から12月期の自動車販売は2198.41万台(前年比113.9%)、生産は 2211.68万台(同114.8%)だった。中国における自動車販売・生産ともに過去最高を更新した。
ところが、工業生産力の上昇、化石燃料(とくに劣悪な石炭)による発電・暖房、加えて自動車(なかでも一般消費者が乗る海外から輸入した中古の古い乗用車やバイク)の急速な普及による排気ガスなどで、PM2.5(微笑粒子状物質)を含んだ大都市部の深刻な大気汚染が蔓延している。
中国政府は、国際的にも劣悪とされる大気汚染を封じ込めるために、電気自動車(EV)とプラグインハイブリッド車(PHV)を「新エネルギー車」と位置づけて補助金制度をつくった。しかし、2013年の新エネルギー車の販売は、1万7642台(EVが1万4,604台、PHVが3038台)でしかない。
そこで政府は、新エネルギー車にハイブリッド車(HV)を加えて補助金支給の検討を始めた。補助金は1台あたり1万5000元(約25万円)と前出の2車種に比べて低いものの、カローラHVなら日本製でも200万円超。1割を超える補助金は魅力がある。
さらに、中国の生産拠点で大規模な新型カローラ・ハイブリッドの生産をスタートさせ、日本製HV輸出とは別の中国・国内生産HVなら価格競争力も増すはずだ。逆に周辺国へ輸出しても良いかもしれない。
これら施策で、トヨタは中国で200万台の販売、ブランド別シェアを独フォルクスワーゲン、米GMに次ぐ3位とし、日系メーカー1位を目指す。
今回のモーターショーに合わせて、トヨタでは世界的なスーパースター、ビヨンセを起用した「Get Goingキャンペーン」を中国で行ない、若者へクルマを持つ愉しさを訴求している。(編集担当:吉田恒)