福島原発訪問後の放射線と鼻血で出版側コメント

2014年05月13日 06:49

 東電福島第一原発訪問後に鼻血を出すシーンや福島県双葉町の井戸川克隆前町長が「被ばくしたからですよ」などと発言するシーンが小学館発行の週刊漫画ビッグコミックスピリッツ連載漫画「美味しんぼ」でなされたことについて、小学館の同誌編集部は12日、「作中で鼻血や疲労感と放射線の影響を関連づける発言が出ているが、因果関係について断定づけるものではない」とのコメントを発表した。

 また、「実在の作中人物の意見と受けた表現は、事故直後に盛んになされた低線量放射線の影響についての検証や現地の様々な声を伝える機会が大きく減っているので、行政や報道の在り方について、議論を今一度深める一助になることを願って作者が採用し、編集部もこれを重視して掲載した」と福島第一原発訪問とその後の描写を説明した。

 また2013年の取材当時、騎西高校に避難していた人たちが登場するが鼻血や体調にかかわるエピソードは、この人たちへの取材とは「無関係」と説明。

 そのうえで「5月19日発売の25号で、識者や専門家の見解や批判を含む意見を集約した特集記事を掲載する予定」としている。

 菅義偉官房長官は12日の会見で「政府としてのコメントは控えたいと思う」としながらも「福島第一原発事故による放射線による住民の被ばくと鼻血に関係があることは考えられない。専門家の評価がそのようになされている」と語った。

 菅官房長官は「科学的見地に基づいて正確な知識(情報)をしっかりと伝えていくことが大事」と述べた。

 井戸川前町長は「今の福島に住んではいけないといいたい」との発言などについて、菅官房長官は「前の町長でもあり、今は民間の方なので、政府がコメントすることではない」とし「科学的知見に基づいて正確な情報をしっかり(国民、世界に)伝えていきたい」と繰り返した。(編集担当:森高龍二)