今月2日に、パソコン事業の売却に関して日本産業パートナーズと正式契約を結んだソニー<6758>だが、そうして業績改善のための構造改革を実施しているものの、かつての「家電メーカー王者」として復活をはたすには、まだまだ道のりは険しそうだ。14日に同社が発表した2014年3月期の連結決算によれば、最終損益(米国会計基準)は1283億円の赤字であったことが分かった。また、同時に発表された15年3月期の最終損益も、500億円の赤字となるとの見通しを示した。前述したパソコン事業売却に伴う費用が、今期も引き続きソニーの業績の重荷となる見通しだ。
パソコン事業売却費用や、CD・DVDなどのデスク事業の不振により、14年3月期の営業利益は前期比88.3%ダウンの264億円、最終損益は1283億円の赤字(前期は415億円の黒字)であった。売上高は前期比14.3%アップの7兆7672億円。
赤字続きで業績の足を引っ張り続けていたパソコン事業からは撤退を決め、またテレビ事業も10年連続での赤字、そしてエレクトロニクス事業はリチウムイオン電池事業の減損を行ったことも影響して3期連続での赤字。こうしたことを受けてソニーはこれまで3回に渡って下方修正を行い、結果2年ぶりの最終赤字に至った。
ソニーが復活をはたすための最大の課題であるエレクトロニクス事業は、再び赤字となった。ソニーの社長兼最高経営責任者(CEO)である平井一夫氏は14年3月期に同事業を黒字化するとの公約を行っていたが、はたすことは出来なかった。
しかし15年3月期の最終損益は500億円の赤字と、その赤字幅が縮小する見通しを示した。また売上高は前期比0.4%アップの7兆8000億円、営業利益は前期比428.4%アップの1400億円を見込んでいる。
今期に関してはテレビ事業の分社化、また人件費の削減などにより同事業の黒字化を目指す。またエレクトロニクス事業についても、引き続き構造改革による損益削減を実施し、15年3月期には増益に転じさせるとしている。
今のソニーの前に広がっている道は決して平坦な道ではないが、同社の掲げる構造改革の進み行きによっては、その道の先にある「業績改善」という目的地にたどり着くこともあるだろう。今ソニーに求められているのは、苦境を耐え忍ぶ我慢強さかもしれない。(編集担当:滝川幸平)