東芝やシャープなど電機大手メーカーが黒字を計上している。そんななか、ソニー<6758>は1283億円もの赤字を計上した。どうやら電機大手メーカーの中でソニーの「負け」となりそうだ。
14日、ソニーは2014年3月期(2013年4月1日~14年3月31日)の業績を発表した。それによると、売上高は前期比14.3%増の7兆7672億6600万円となったものの、営業利益は前期比88.3%減の264億9500万円、当期純利益は1283億6900万円(前期は415億4000万円の利益)と、前期から一転して赤字となった。
売上高の増収は、主に為替の好影響、「プレイステーション 4」(「PS4TM」)の発売、及びスマートフォンの大幅な増収によるもの。しかし、前年度の為替レートを適用した場合、売上高は2%の減少となる。
営業利益の大幅な減益は、資産売却にともなう売却益や再評価益が前年度に比べて減少したこと、構造改革費用も含めたPC事業に関連する損失が前年度の386億円から917億円に拡大したこと、ならびに電池事業やディスク製造事業において減損を計上したことなどによるものだという。また、為替の好影響、携帯電話事業での大幅な損益改善、ならびにテレビの大幅な損失縮小などの損益改善要因もなった。
今年度のPC事業に関連する損失917億円には、PC事業の収束を決定したことにともなう費用583億円が含まれており、分野別では、455億円がモバイル・プロダクツ&コミュニケーション(「MP&C」)分野に、128億円が全社(共通)及びセグメント間取引消去に計上されている。128億円は、PC事業の収束にともなって発生した販売会社の規模縮小にともなう構造改革費用だった。
また、今年度の営業利益には、2011年度に発生したタイの洪水による損害や損失に対する保険収益(純額)119億円が含まれている。そして、法人税は946億円となり、実効税率は日本の法定税率を上回った。これは、繰延税金資産に対し評価性引当金を計上しているソニー及び一部の子会社において計上した損失に対して税金費用の戻し入れを計上しなかったこと、及び税金引当が増加したことによるもの。
これらの結果、約1284億円の純損失を計上することになったが、「VAIO」撤退によるPC事業の収束が大きく響いた。これは、来年度も続くと同社では予想しており、2015年3月期も500億円の純損失、つまり赤字を予想している。トランジスタラジオ、ウォークマン、CDなど世の中を変革する製品を送り出してきたソニー、新たな強みとなる分野、製品が欲しいところだろう。(編集担当:慶尾六郎)