「人はどこを見ているか」 拡がるマーケティングリサーチの新しい手法

2014年05月25日 18:08

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45gというスポーツタイプのメガネとほぼ変わらない軽さと目立たないデザインにより被験者への負担を軽減する。

 アイトラッキングは、人がどこを見ているか(眼球がどこを向いているか)を測定する技術で、学術研究で育まれ、その後、マーケティングリサーチに広がっている。学術研究では、発達、教育、言語等の各種心理学、医学分野、工学分野等の幅広い分野で使用されている。

 中でも高いシェアを持っているのがトビー・テクノロジー株式会社。同社のアイトラッキングは、マーケティングリサーチにおいて商品パッケージや商品棚割の調査、広告物の調査、Webサイトやスマホのユーザビリティテストなどにおいて効果的な調査手法として使用されているという。

 また、他の生理計測や脳計測と同時に計測することも可能だ。一方で、インターフェイスとしての活用も始まり、福祉からマスマーケットに広がろうとしています。現在、国内では、300以上の大学や研究所、200社以上の企業で使用されている。

 そして、今回同社は21日、軽量な次世代ウェアラブルアイトラッキング「Tobii グラス2」を発売した。Tobii グラス2は、ワイヤレスライブ観察を含めこれまでにない機能性を備えており、人間行動の研究やマーケティングリサーチに利用できる。

 従来のグラス型アイトラッキング装置では、視線データを取得している間は、リアルタイムで視線データを見ることができなかった。多数のユーザーからリアルタイムで視線データを観察したいというニーズに応えて、ワイアレスでリアルタイムでの観察が可能となった。

 また、4つのアイカメラ、広視野角のHDカメラ、薄い側面部により、自然な状態で視線データを取得することができる。さらに、Flexible Mappingにより、取得したデータをより速く、より簡単に集計、可視化することができる。

 装着においても、スポーツタイプのメガネとほぼ変わらない軽さ(45g)と目立たないデザインにより被験者への負担を軽減した。これにより、スポーツ研究をはじめとして、動きが多い研究、調査でも対応が可能となる。

 同社では、発達、教育、言語等の各種心理学、医学分野、工学分野、スポーツ研究、商品パッケージ、棚割、店頭調査、自販機、デジタルサイネージ、看板の調査、スキル伝承、運転時の視線計測など用途を想定している。

 人がどこを見ているか、簡単にわかる時代になった。今回の最大の特徴は測定したその場で、視線データが簡単に観察できるようになったことだろう。人の視線とはデリケートな問題である。現在は、アイトラッキングは、あくまで学術分野やマーケティングでの利用だ。これからも慎重に開発を続けてほしい。(編集担当:慶尾六郎)