パテント・リザルトは27日、独自に分類した電気機器業界の企業を対象に、2013年の特許審査過程において他社特許への拒絶理由として引用された件数を企業別に集計した「電気機器業界 他社牽制力ランキング2013」をまとめたと発表した。この集計により、直近の技術開発において各社が権利化する上で、阻害要因となる先行技術を多数保有している先進的な企業が明らかになるという。
集計の結果、13年に最も引用された企業は、パナソニックの2万5390件、次いで東芝の1万5410件、日立製作所の1万3117件となった。以下、ソニーの1万1527件、三菱電機の9802件、シャープの9386件、NECの7313件、富士通の6839、三洋電機の5719、ルネサスエレクトロニクスの3818件と続く。
1位のパナソニックの最も引用された特許は、「発光装置(特願2002-218989)」で、ROYAL PHILIPS(蘭)やSAMSUNG ELECTRONICS(韓)、OSRAM(独)などによる後発の特許16件の審査過程で拒絶理由として引用されている。
そのほか、「光源装置(特願2001-114502)」がSEOUL SEMICONDUCTOR(韓)や電気化学工業などの後発特許13件に、「LEDランプ(特願2003-086485)」がROYAL PHILIPSや京セラなどの後発特許11件に引用されており、引用された件数の多い上位特許にはLED照明関連の技術が多くみられるという。
2位の東芝の最も引用された特許は、「コグニティブ無線システム(特願2006-126949)」。後発の特許15件の審査過程で拒絶理由として引用されており、企業別にはQUALCOMM(米)の4件、SAMSUNG ELECTRONICS(韓)の3件、ROYAL PHILIPS(蘭)の2件、ソニーの2件などとなっている。そのほか、放電プラズマを用いた気流発生装置に関する「翼(特願2007-120792)」がGENERAL ELECTRIC(米)や京セラなどの後発特許12件に、複合機に関する「カラー画像形成装置と画像形成方法(特願2005-121437)」がリコーの後発特許12件に引用されている。
3位の日立製作所の最も引用された特許は、「電力伝送システム並びに電力伝送および情報通信システム(特願1997-242565)」。パナソニックやQUALCOMMなど15件の後発特許の審査過程で拒絶理由として引用されている。そのほか、「タッチ位置検出装置及びタッチ指示処理装置(特願1994-220205)」がセイコーエプソンやキヤノンなどの後発特許11件に、「集光型太陽光発電装置(特願1999-293473)」が京セラやトヨタ自動車などの後発特許10件に引用されている。
今回の調査では、パナソニック、東芝が海外企業に対する牽制力が強いのがわかる。健闘しているのがルネサスエレクトロニクスだ。同社は、かつて米国のアカシア・リサーチ・コーポレーションに、ルネサスが有する特許の一部を譲渡している。にもかかわらず、10位にランキングしている。半導体関連の重要な特許はまだまだ日本にあるということか。(編集担当:慶尾六郎)