化学業界の他社牽制力は富士フイルム、花王、三菱化学がトップ3

2014年05月12日 10:32

 日本はなんといっても資本主義社会。そして資本主義は競争社会だ。競争して勝つには相手を牽制する力も必要である。特許に特化した調査会社株式会社パテント・リザルトは7日、化学業界の企業の他社牽制力ランキングを発表した。

 同社は、独自に分類した化学業界の企業を対象に2013年の特許審査過程において他社特許への拒絶理由として引用された件数を企業別に集計した「化学業界 他社牽制力ランキング2013」をまとめた。ランキングの集計対象については、日本特許庁に特許出願され、2013年12月までに公開されたすべての公報のうち、13年1月から12月末までの期間に拒絶理由(拒絶理由通知または拒絶査定)として引用された公報を抽出した。

 集計の結果、2013年に最も引用された企業は、富士フイルムの6861件、次いで花王の2316件、三菱化学の2114件となった。以下、積水化学工業の2043件、三井化学の1628件、日東電工の1533件、住友化学の1382件、日立化成の1324件、カネカの1203件、信越化学工業の1197件と続く。

 1位の富士フイルムの最も引用された特許は、「金属研磨用組成物(特願2007-50123)」。後発の特許15件の審査過程で拒絶理由として引用されており、この15件はいずれもJSRによる出願となっている。13年に、富士フイルムの特許によって影響を受けた件数が最も多い企業はキヤノン、次いでコニカミノルタ、ニコンとなっている。

 2位の花王の最も引用された特許は、「磁気ディスク基板のナノスクラッチの低減方法(特願2005-64748)」(公開時の発明の名称は「研磨液組成物」)および「ガスバリア用材料(特願2008-204273)」。いずれも後発の特許8件の審査過程で拒絶理由として引用されており、前者はJSRの8件、後者は凸版印刷の5件をはじめ、住友ベークライトの2件、第一工業製薬による1件となっている。

 13年に引用された花王の2316件の公報を分野別にみると、「化粧料」が多いほか、「洗浄剤」「おむつ等の吸収体」などの技術がみられるという。

 3位の三菱化学の最も引用された特許は、「酸性飲料(特願平8-310619)」。後発の特許12件の審査過程で拒絶理由として引用されており、企業別にはTHE COCA-COLAの10件、THE CONCENTRATE MANUFACTURING COMPANY OF IRELANDの2件となっている。
 
 13年に引用された三菱化学の特許には、「樹脂組成物」「有機EL」「リチウムイオン2次電池」などの技術が多くみられるという。

 なお、同社ではこのランキングに関するさらに詳しい情報をCDにして販売している。価格は5万円。(編集担当:慶尾六郎)