株式会社パテント・リザルトは21日、独自に分類した自動車メーカーの企業を対象に、2013年の特許審査過程において他社特許への拒絶理由として引用された件数を企業別に集計した「自動車メーカー 他社牽制力ランキング2013」をまとめたと発表した
企業の特許競争はすさまじいものらしい。それはそうだろう。独自の技術が膨大な利益を生み出し、さらに、企業間の競争力も高まるからだ。しかし、問題はどこよりも先に申請しなければならないこと。たとえば、同じ業種であれば、似たような技術を思いつくだろうし、特許を申請した時点で他社に先んじていれば、それが企業間の牽制力となるのだ。
株式会社パテント・リザルトは21日、独自に分類した自動車メーカーの企業を対象に、2013年の特許審査過程において他社特許への拒絶理由として引用された件数を企業別に集計した「自動車メーカー 他社牽制力ランキング2013」をまとめたと発表した。この集計により、直近の技術開発において各社が権利化する上で、阻害要因となる先行技術を多数保有している先進的な企業が明らかになるという。
このランキングは、日本特許庁に特許出願され、13年12月までに公開されたすべての公報のうち、13年1月から12月末までの期間に拒絶理由(拒絶理由通知または拒絶査定)として引用された公報を抽出した。そして、権利移転を反映した集計を行っている。業種は総務省の日本標準産業分類を参考に分類している。
集計の結果、2013年に最も引用された企業は、トヨタ自動車の9426件、次いで日産自動車の5401件、本田技研工業の3987件となった。以下、マツダの1563件、豊田中央研究所の1202件、富士重工業の872件、ヤマハ発動機855件、三菱自動車工業の803件、スズキの773件、いすゞ自動車 の452件と続く。
1位トヨタ自動車の最も引用された特許は、「電動車両および車両用給電装置(特願2007-277973)」で、後発の特許13件の審査過程で拒絶理由として引用されており、企業別にはソニーの4件、富士通の2件のほか、NTT、日産自動車、TDK、東芝などとなっています。
13年に引用されたトヨタ自動車の9426件の特許を分野別にみると、ハイブリッド車の制御や燃料電池、DPFなどの排気処理、周辺監視装置などが多くなっている。
2位の日産自動車の最も引用された特許は、「充電スタンド情報提供装置(特願2002-62986)」で、後発の特許13件の審査過程で拒絶理由として引用されており、企業別にはデンソーの4件、三菱電機の2件のほか、富士通テン、東京電力、カルソニックカンセイ、昭和シェル石油などとなっている。
また、13年に、日産自動車の特許によって影響を受けた件数が最も多い企業はトヨタ自動車の699件、次いで、本田技研工業の461件。
3位の本田技研工業の最も引用された特許は、「車両用クラッチの接続状態判定装置およびこれを用いた変速制御装置(特願2000-355625)」で、後発の特許10件の審査過程で拒絶理由として引用されており、この10件はいずれもアイシン・エーアイによる出願となっている。
13年に引用された本田技研工業の3987件の公報を分野別にみると、ハイブリッド車両の制御や車体構造などの車両関連技術のほかに、作業ロボットが挙げられ、安川電機、IHI、NASA(米)などによる後発の出願の審査過程で拒絶理由として引用されている。
ランキングをみると、トヨタ自動車、日産自動車、本田技研工業のトップ3は納得がいくという感じがする。ブランド力がそのまま特許における企業の牽制力に反映した感じだ。 (編集担当:慶尾六郎)