自動車・バイク業界初の快挙 ホンダ「スーパーカブ」が立体商標登録へ

2014年05月27日 09:14

 「スーパーカブ」というバイクの名を知らなくても、実車の写真を見せればわからない人はいないのではないだろうか、というくらいそのスタイルは老若男女に認知されている。都市で、地方でそして世界中で愛されているバイクだといっても過言ではない。事実、筆者の友人が昔東洋人など一人も見かけないブラジルの田舎で、「スーパカブ」を見かけて、なぜかほっとしたと話してくれたことがある。それくらい力を持ったデザインなのだ。

 ホンダ<7267>の原動機付二輪車「スーパーカブ」の形状が特許庁から立体商標として登録されることが決定した。二輪自動車としてはもちろん自動車業界全体としても、その乗り物自体の形状が立体商標登録されるのは日本で初めてであり、工業製品全般としても非常に珍しいケースだ。1958年のデビューから半世紀以上の間、機能的な向上を図りつつも、一貫したデザインコンセプトを守り続けた結果として、デザインを見ただけでユーザーにホンダの商品であると認識されるようになったことが特許庁の審査で認められ、立体商標登録に至ったという。

 世界生産累計台数は、3月時点で8,700万台以上に達しており、現在まで実に160カ国以上で販売され、世界で最も多く生産されたバイクだ。同社は、今後も「スーパーカブ」の基本コンセプトを大切にしながら、世界中のユーザーに喜びを届けできるよう取り組んでいくとしている。

 因に、カブシリーズの世界生産累計は1.000万台を1974年8月、5.000万台を2005年12月、6,000万台を08年4月にそれぞれ達成している。また主要生産国は、タイ、インドネシア、ベトナム、ブラジル、中国、ナイジェリア、日本など14カ国、15拠点である。

 昨今は猫も杓子もグローバリズムの時代だと言うが、力のあるものは出発点はローカライズされたもので何の問題もないということを改めて考えさせられる。もちろんこれはデザインに限った話しではないだろう。こういった観点から見ると、世界のベストセラーといってもいいようなプロダクトが立体商標として登録されるのはむしろ遅すぎたのではないか。とはいえ、これは自動車業界全体にとってのグッドニュースであることには違いないだろう。(編集担当:久保田雄城)