新入社員が入社して早2ヶ月が過ぎようとしている。世代間のギャップなどもあり、以前よりも新入社員との付き合い方に慎重になっている上司も多いようだ。早く戦力に育てたいが、一方であまり厳しい指導をすると付いてきてくれるのか不安に感じるというのが共通の悩みだろう。
逆に、新入社員の世代は上司たちのことをどう見ているのだろうか。彼らの視点を知り、お互いにとって円滑なコミュニケーションを考えてみたい。
産業能率大学が2014年度の新入社員を対象に実施した「理想の上司像」の調査によると、男性上司は1位が「堺雅人」、2位が「池上彰」、3位が「イチロー」。女性上司は1位が「天海祐希」、2位が「江角マキコ」、3位が「篠原涼子」となっている。女性はここ数年上位にほとんど変動がないが、男性の方は数年間二強を誇っていた「池上彰」「イチロー」を、ドラマ『半沢直樹』の「堺雅人」が一気に抜き去った。
毎年のことながら、テレビのイメージや露出によってランキングが決まってくる部分が大きいが、今年の「堺雅人」(半沢直樹)のイメージに代表されるように、年々組織に依存しない個の能力と姿勢を持つタイプへの支持が強まっていることが分かる。リーマンショックや東日本大震災以前までは、親しみやすいタイプや、組織内でリーダーシップを取るタイプへの支持が強かったが、先行きが不安定な世の中で若い世代も「最後に頼れるのは個の力」とどこかで感じ取っているのかもしれない。一方で、一緒に働く上司に具体的に求めるのは、「面倒見の良さ」「丁寧な指導」が多く、また会社自体には「成長性」よりも「雰囲気・居心地の良さ」という回答が多かったようだ。先行きが不安定だからこそ、出来る限り環境の整えられた場所に身を置きたいという願望が伺える。
また、「場合によっては叱ってほしい」という回答も多く、イメージほど叱られることへの抵抗感は高くないようだ。逆に一緒に働きたくない上司のタイプには「無責任」「人として尊敬できない」という回答が多く、叱られることに抵抗感があるというよりも、理不尽な叱られ方や、筋が通っていない指導にはショックを受けやすいのかもしれない。
こうした回答から見えてくる上司像は、ひとつひとつのステップを丁寧に指導してくれる存在ではないだろうか。焦って一気に教えようとしたり、いきなり距離を縮めていくと、若い世代には雑なコミュニケーションに映り、失望されやすいのかもしれない。
懇切丁寧に段階を省くことなく、雰囲気を重視しながら指導してくれる存在。言葉にするとスーパーマンのようだが、考えてみるとこれは前述したランキング2位の「池上彰」ではないだろうか。現実的な視点で新入社員が求めているのは「堺雅人」(半沢直樹)よりも、「池上彰」なのかもしれない。新入社員の指導法にお困りの方は、池上氏のニュース番組を参考にしてみてはいかがだろうか。(編集担当:久保田雄城)