五月病とうつ病はどう違う? 憂鬱なこの時期を乗り切るには

2014年05月18日 21:47

 大型連休も終わり、新人研修などの社内オリエンテーションにも一区切りがつく5月後半から6月。梅雨の訪れとともに、入社時は元気のあった新入社員もモチベーションが途切れ、五月病や六月病がささやかれる時期だ。うつ病による休職や退職が増え、職場でのメンタルヘルス管理が重視される昨今、自分のためにも部下のためにも、うつ病と五月病の違いをしっかりと知っておくことが必要だろう。

 いわゆる「五月病・六月病」というのは病名ではなく、環境の変化への適応障害だと言われている。入社・入学・転勤などで新生活に入ったものの、そこでの環境や人間関係に馴染めないことが大きな原因だが、それだけではなく入社や入学を果たした達成感の反動でモチベーションが下がる場合もある。いずれにせよ新生活の現実と理想のギャップに疲れ、混乱することで起こると言えるだろう。

 うつ病と同じく、気分の落ち込みや食欲不振、睡眠不足といった症状が見られるため、「もしかしてうつ病かも…」と悩む人も少なくない。しかし気分障害は一過性であることが多く、環境や人間関係に慣れていけば改善していくことがほとんどだ。

 改善のポイントは、親しい人とコミュニケーションを取ることや、バランスの取れた食生活や十分な睡眠を心がけること。特に知らない土地に単身出て来ると、友人や家族もいないので愚痴をこぼせる相手もいないもの。意識的に離れた友人に電話などで連絡を取って雑談をしたり、同期で愚痴を言い合える仲間を作ることも効果的だろう。

 食生活や生活リズムも一人暮らしでは乱れがちになってしまうので、どんなに忙しくても「食事はしっかり採る」「たっぷり眠る」と決めて生活しよう。また、梅雨時の気候も心身ともに変調をおこしやすい要因なので、大型連休明けだけではなく、夏ごろまでは意識的に体調管理することも大切だ。

 上司や先輩社員も、やたら明るく励ましたり喝を入れるのではなく、優しく「悩みがあれば聞くし、ちゃんと見守っているから自分のペースでやったらいいよ」と、あくまで無理強いしない姿勢が重要。もしも長期化するようなら、専門医の受診も早めに提案しよう。

 五月病・六月病の適応障害は、長期化してしまうとうつ病にもつながりかねない。そうならないためにも、スタートダッシュの季節の後は、新入社員も上司も力を抜いてほどほどにがんばる季節だと思ってはいかがだろうか。クールビズの季節、ネクタイと一緒に気持ちも少しゆるめて風通し良く行こう。(編集担当:久保田雄城)