医療従事者の喫煙率 医師、薬剤師が最も低く看護師は最多か?歯科医師は国民平均と同程度

2014年05月31日 11:31

 5月31日は「世界禁煙デー」。各地で禁煙に関するイベントが催される。禁煙といえばここ数年、ニコレットやチャンピックスの登場など“お医者さんと禁煙”というキャッチフレーズが普及しつつあるが、肝心の医療従事者の喫煙率はどうなのだろうか。各種調査を比較すると、医療従事者の中でも医師、薬剤師の喫煙率は1割未満と低い傾向で、歯科医師の喫煙率は国民平均と同程度、看護師は平均の2倍以上となるようだ。

 医師専用サイト「MedPeer(メドピア)」の調査(回答数3873)では、医師の喫煙状況では「喫煙したことがない」61.2%、「以前喫煙していた(今はしていない)」29.6%、「ほぼ毎日喫煙」7・0%、「ときどき喫煙」2・2%と、喫煙経験の無い医師が6割を占めており、喫煙者は1割に満たない結果となった。

 厚生労働省の2013年国民健康・栄養調査結果による20歳以上の喫煙者の割合を見ると平均して20・7%(男性34.1%、女性9.0%)と比較すると、医師の喫煙率は一般的な喫煙率の半数程度であることがわかる。

 医療職の中では喫煙率が高いことが指摘される看護師と比較するとどうだろうか。日本看護協会06年「看護職のたばこ実態調査」によると、喫煙経験は「ない」55.0%、「ある」44.2%と、「ない」が「ある」を上回ったものの医師よりは喫煙経験者が多い結果となっている。さらに見ていくと、喫煙経験者のうち現在も継続的に喫煙している看護師は45%に上り、国民平均の2倍以上であることがわかる。

 看護師と喫煙率の関係を、看護師という職業上のストレスなどと関連付けた研究はいくつも行われているが、人命を預かるという点では医師も多大なストレスがあるだろうと推測すると、看護師に限って喫煙率が高いことはやはり興味深い。

 一方で喫煙は口腔内の衛生状況とも密接なかかわりがあるが、歯のスペシャリストである歯科医師の喫煙率はどうなのだろうか。日本歯科医師会などによる大々的な調査は見当たらなかったが、大学による調査研究などは行われているようだ。

 大阪大学大学院歯学研究科予防歯科学教室の小島美樹氏が実施した調査研究によると、歯科医師喫煙率(08年調査)は27.1%と、医師の喫煙率よりは高いものの、一般国民と比較するとやや多いか、あるいは同程度といえそうだ。

 ちなみにニコレットなどOTCの禁煙薬で指導する薬剤師の喫煙率は、「喫煙経験なし」60.9%、「かつて吸っていたが、現在は吸っていない」27.0%、「喫煙している」9.9%であり、医師と同程度に喫煙率が低かった(日本薬剤師会調べ)。

 まとめると医療従事者の喫煙率は看護師>歯科医師>医師、薬剤師の順で低くなっている傾向があるようだ。最近では、禁煙ならぬ嫌煙ブームと、愛煙家には肩身の狭い状況になっているが、禁煙をしたい人にとっては医療機関の受診が強い味方になってくれるだろう。(編集担当:横井楓)