【今週の振返り】テクニカルの壁を次々突破し170円上昇した週

2014年05月31日 16:50

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「鉄の壁」だった75日移動平均線も日足一目均衡表の「雲」も、200日移動平均線も突き抜けたが……

 日経平均は85.31円安の14585.64円で反落スタート。戻り待ち売りで前日に超えた200日移動平均線14657円を大きく割り込み、14418~14598円に横たわる日足一目均衡表の「雲」の中に落ちて14574円まで下げる。しかしすぐに14600円台まで戻し、地合いはなかなか底堅い。午前10時頃にもう一度14580円を割り込んでも、厚くなった「雲」でバウンドしV字回復。1月以来、突破に頑強に抵抗していた75日移動平均線(14544円)も下値をしっかり支える。11時台にはTOPIXはプラスに浮上し、日経平均は14665円まで上昇して前引は14663円。ほぼ200日線のレベルまで戻った。

 後場は前引とほぼ同じ水準で始まりながら午後0時台に200日線をあっさり突破してプラスに浮上し14700円に迫る。TOPIXも1200台乗せ。その後はマイナスにタッチする時間があるもののおおむね14670~14700円の小幅高のレンジで推移する。2時ジャストには14700円を突破し、2時4分に14714円の高値をつける。2時台後半に日経平均がマイナス圏まで下げるが、75日線に代わって200日線の14657円が下値の支え役になって下落をはね返す。プラス圏を保ったまま終値は10.77円高の14681.72円で6日続伸。日中値幅は140円。TOPIXは+2.51の1200.68で1200の大台に乗せて6日続伸。売買高は18億株、売買代金は1兆6273億円だった。

 値上がり業種上位は水産・農林、パルプ・紙、ゴム製品、輸送用機器、その他金融、石油・石炭など。値下がり業種下位は非鉄金属、鉱業、不動産、繊維、医薬品、卸売など。

 29日のNYダウは65ドル高の高値引けで反発。NASDAQは22ポイント上昇。S&P500は10ポイント上昇で史上最高値更新。アメリカの1~3月期の国内総生産(GDP)改定値は下方修正され、マイナス成長は2011年1~3月期以来。市場予測を下回っても大寒波の影響は織り込み済みで、むしろ個人消費の上方修正を好感された。共同通信が、ソフトバンク<9984>傘下のスプリントによるTモバイルUS買収をドイツテレコムが容認と報じ、スプリント株は2.61%上昇、TモバイルUS株は1.34%上昇、ソフトバンクのADR(米国預託証券)は東証終値比で99円上昇した。30日朝方の為替レートはドル円が101円台後半、ユーロ円が138円台前半で、アメリカの長期金利は2.5%を割ったまま。

 日経平均は25.94円高の14707.66円と14700円に乗せて始まる。TOPIXもプラス。午前9時2分に14697円まで下げ、そこから9時8分の14741円まで急上昇。その後は上下の振幅がだんだん小さくなり、10時台は14700~14720円の範囲におさまる。10時20分すぎから一段高で14720円台に乗せた。

 ところが11時台、円高進行とともに日経平均はマイナスに落ちズルズル下げ続ける。麻生財務大臣が法人税率引き下げには「恒久的に補う代替財源が必要だ」と財務省の立場を代弁する発言をしたためで、大臣発言で利益確定売りの金曜日でもあり高値警戒感を持つ勢力が食いつき、11時27分に14591円と日足一目均衡表の「雲」の中に落ち、前引は14601円。TOPIXも1200を割った。

 後場はマイナス圏の雲の中から再開。すぐに雲を抜けて14600円台に乗せ、1時台には14620~14650円のレンジで小動きするが、前日は下値をサポートした200日移動平均線が上値の頭を叩く。それでもTOPIXは1200円台に戻した。日経平均は2時台前半にプラス圏まであと少しに迫るが、後半はズルズル14610円近辺まで下げ続ける。大引けでMSCI標準インデックスの入れ替えが行われ、投資信託など約700億円の資金流出観測もあったが、安値引けにはならなかった。

 大引けで少し上昇し49.34円安の14632.38円で7営業日ぶりに反落。4勝1敗、前週末23日の終値から170.21円上昇して今週の取引を終えた。5月の取引も終了し、4月30日の終値14304.11円から328.27円上昇し、「セル・イン・メイ」に逆行し5ヵ月連続のマイナスを回避。今年初めてプラスの月になった。日中値幅は150円。TOPIXのほうは+0.73の1201.41で元気に7日続伸。売買高は27億株、売買代金は2兆3747億円で5月7日以来の2兆円超えでも、MSCI入れ替えという特殊要因による追い風参考記録にすぎない。

 プラスセクター上位はゴム製品、電気・ガス、情報・通信、石油・石炭、輸送用機器、その他製品など。マイナスセクター下位はパルプ・紙、非鉄金属、証券、ガラス・土石、その他金融、金属製品などだった。(編集担当:寺尾淳)