【日経平均】戻り待ち売りをしのぎ底堅く10円高6日続伸

2014年05月29日 20:14

 28日のNYダウは42ドル安で5営業日ぶりに反落し、NASDAQも11ポイント下落した。利益確定売りに押されながらプラスになる場面もみられ、好調な経済指標を背景とした買い基調は続く。建設大手のトール・ブラザーズの好業績が住宅市場への懸念を緩和していた。モメンタム銘柄の指標として最近よく参考にされる中・小型株指数「ラッセル2000」は0.48%下落でも依然1100オーバーの高値圏。29日朝方の為替レートはドル円が101円台後半、ユーロ円が138円台前半で前日よりも円高。アメリカの長期金利が再び2.44%まで下落してドルが安くなり、ウクライナ情勢に加え来週のECB理事会での利下げ期待も盛り上がりユーロは下がり続けた。

 シカゴCME先物清算値は14650円。取引時間前に発表された商業販売統計速報値の4月の小売業販売額は4.4%減。市場予測より低いがこの程度の反動減は想定の範囲内。外資系証券の売買注文動向は買い越しだったが日経平均は85.31円安の14585.64円で反落スタート。戻り待ち売りで前日に超えた200日移動平均線14657円を大きく割り込み、14418~14598円に横たわる日足一目均衡表の「雲」の中に落ちて14574円まで下げる。しかしすぐに14600円台まで戻し、個人投資家が復帰してきた地合いはなかなか底堅い。

 午前10時頃にもう一度14580円を割り込んでも、厚くなった「雲」でバウンドしV字回復。1月以来、突破に頑強に抵抗するレジスタンスラインだった75日移動平均線(14544円)も味方に変貌し、下値をしっかり支える。昨日の敵は今日の友。レジスタンスだった詩人も「敵を兄弟に変える。それが人間の優しい法則だ」(ポール・エリュアール「よき正義」)と16行詩に綴っている。11時台にはTOPIXはプラスに浮上し、日経平均は14665円まで上昇して前引は14663円。ほぼ200日線のレベルまで戻った。

 後場は前引とほぼ同じ水準で始まりながら午後0時台に200日線をあっさり突破してプラスに浮上し14700円に迫る。TOPIXも1200台乗せ。その後はマイナスにタッチする時間があるもののおおむね14670~14700円の小幅高のレンジで推移する。2時ジャストには14700円を突破し、2時4分に14714円の高値をつける。前々日、前日は先物主導の下げに屈した2時台後半は、日経平均がマイナス圏まで下げて「3日連続でやられるのか?」と思わせたが、今度は75日線に代わって200日線の14657円が下値の支え役になって下落をはね返す。敵から味方に変わった〃兄弟〃がもう一人登場し、続伸を目指すにはうれしい法則だ。おかげでプラス圏を保ったまま終値は10.77円高の14681.72円で6日続伸。日中値幅は140円。TOPIXは+2.51の1200.68で1200の大台に乗せて6日続伸。売買高は18億株、売買代金は1兆6273億円だった。

 値上がり銘柄805に対し値下がり銘柄のほうが829でわずかに優勢。業種別ではプラス23業種、マイナス10業種。値上がり業種上位は水産・農林、パルプ・紙、ゴム製品、輸送用機器、その他金融、石油・石炭など。値下がり業種下位は非鉄金属、鉱業、不動産、繊維、医薬品、卸売などだった。

 日経平均採用225種は値上がり110銘柄、値下がり97銘柄。プラス寄与度1位はソフトバンク<9984>で+4円、2位はKDDI<9433>で+3円。マイナス寄与度1位は東京エレクトロン<8035>で-2円、2位はファナック<6954>で-2円だった。

 メガバンクは揃って上昇し、みずほ<8411>1円高、三菱UFJ<8306>4円高、三井住友FG<8316>8円高。NISA口座数が1月から3月末までに約3割増え、6080億円が流入した証券セクターは野村HD<8604>が3円高、大和証券G<8601>が6円高。約1割にのぼる投資未経験者を失望させないことがこれから大切になる。

 自動車大手各社から4月の生産台数が発表された。国内生産が6.2%減だったトヨタ<7203>は序盤マイナスで始まったが、すぐプラスに浮上し50円高。燃料電池車の年内販売も報じられた。8ヵ月連続増で38.1%増のホンダ<7267>は8円高。18.0%減の日産<7201>は19円高。3.9%増のマツダ<7261>は6円高。74.9%増の三菱自動車<7211>は6円高。2.7%増のスズキ<7269>は32円高。反動減が心配されたが、フタを開けてみるとプラスマイナスまちまち。輸送用機器セクターは騰落率4位に入った。