【日経平均】15000円にあと37円まで迫り303円の大幅高

2014年06月02日 20:14

 医薬・ヘルスケア関連の話題が多かった日。エーザイ<4523>は甲状腺がん治療の新薬の製造販売承認を申請と報じられ73円高で年初来高値更新。想定売上600億円の大型新薬。JCRファーマ<4552>は来年にも「細胞医薬品」の生産に乗り出すと報じられ131円高。人間の細胞を培養し免疫不全などの治療に使う。シスメックス<6869>はドイツ企業と大腸がん血液検査薬の共同開発契約を締結し80円高で8日続伸した。厚生労働省が一部の検査薬を処方せんなしで買える医療用検査薬の市販の拡大を打ち出し、ドラッグストアのマツモトキヨシHD<3088>は20円高、薬のネット販売のケンコーコム<3325>は69円高になった。

 値下がり率ランキングは公募増資などファイナンス発表銘柄が目立った。1位のFPG<7148>は発行済株式数の最大約20%の新株発行と株式売出しで89円安。3位の前田工繊<7821>は最大10.2%の新株発行と株式売出しで96円安。9位の帝国電機製作所<6333>は最大7.9%の新株発行と株式売出しを行い、同時に1対2の株式分割を発表したものの78円安だった。

 シンガポールを訪問した安倍首相がカジノを見学後、「カジノのある統合型リゾートは成長戦略の目玉」と話すとカジノ関連のオーイズミ<6428>は44円高で4日続伸。日本金銭機械<6418>は10円高と続伸した。JTB系のホテルチェーン「サンルート」を9月1日付で買収、子会社化と発表した相鉄HD<9003>は2円高。相鉄フレッサインとサンルート合計で全国100店舗に迫る。

 不動産は成長戦略、規制緩和の期待もあり業種別騰落率トップ。4月の地価動向報告で調査地点の79%で地価が上昇したのも好材料になった。三井不動産<8801>は前週の公募増資発表による下落を完全に埋めて121円高で売買代金9位、三菱地所<8802>は85円高で同10位、住友不動産<8830>は183円高。ケネディクス<4321>は21円高で売買高2位、売買代金4位だった。

 新成長戦略にJR東海<9022>のリニア中央新幹線の大阪延伸の前倒しを明記するニュースと、JR東日本<9020>が東京五輪までに山手線の田町・品川間の再開発地区に新駅を開設するニュース。リニアはJR東海独力で2027年に名古屋まで開業させるが、名古屋・大阪間は国家プロジェクトとし2045年開業予定を2027年にできるだけ近づける。政策期待でJR東海は280円高で年初来高値更新。JR東日本は84円高。鉄道土木に強い鉄建<1815>は12円高、東鉄工業<1835>は80円高で年初来高値更新、トンネル工事に強い熊谷組<1861>は5円高だった。

 サンリオ<8136>は前週末に100万株、30億円上限の自社株買いを発表し58円高。ゲーム関連のKlab<3656>は33円高で10日続伸。ミクシィ<2121>は720円高で4日続伸。東証マザーズ指数は4.16%上昇、日経ジャスダック平均は0.99%上昇した。

 この日の主役は第一生命。日経新聞朝刊1面に、アメリカの中堅生保のプロテクティブ社を5000億円で買収する交渉が最終段階に入ったというニュースが躍った。日本の生保業界のM&Aでは過去最大で、第一生命は売上高で日本生命に並ぶ。しかし5000億円はトヨタの今年の国内投資予定額と同じで、マーケットはどうしても財務負担に目が向く。配当性向の悪化も懸念され、2000億円規模の初の公募増資実施が報じられた後場にはファイナンスを嫌気して一段安になり、終値75円安、値下がり率4位と逆行安した。売買代金は3位。ザラ場段階では、会社側は買収交渉の進展も公募増資も否定している。(編集担当:寺尾淳)