日本維新の会―橋本徹大阪市長のもと、改革への期待から2012年の衆議院選挙で躍進し、翌年の参議院選挙でも議席を獲得した同党が、分裂のときを迎えている。今月、日本維新の会は分裂を発表、上旬のうちに橋本大阪市長(共同代表)の党か、石原新太郎共同代表の新党のどちらに所属するかの決定を所属議員に求めている。この二択の判断に反発する議員もおり、どちらにも所属しない「第3勢力」も含めた3つの党に分裂することは避けられない状況になっている。
衆議院では第3党の議席数をもつ同党の分裂は、今後の国政にも大きな影響を及ぼすだろう。そもそも分党の選択肢とされている橋本氏と石原氏はもともと別の党であり、合流の際にも問題点が指摘されていた。それが懸念の声を押し切り12年の衆院選直前に合流をし、2党に所属していた議員は「日本維新の会」という1つの看板を掲げて選挙を戦った。今、改めて政党の「合流」「分党」について、そして選挙のために「看板の書き換え」をする議員たちについてしっかりと考えるべきだろう。
現在政党要件を満たしている政党で自公民を除いた7党のうち2党(維新・改革)の党首は元自民党議員であり、さらにもう2党(みんな、生活)の党首が元民主党議員である。この例を見ればわかるように、現在国会に議席を持つ議員の多くが、自民党か民主党のどちらかに所属していた経歴がある。
そしてその議員たちの多くが、それらの大政党の看板を背負って出馬し当選したにも関わらず、議員辞職をせずに任期中に離党をしている。いわば「看板の書き換え」だ。投票をした市民は少なからず彼らの背負った「看板」を見て投票をしている。離党をし、新たな看板を背負おうとするのであれば、一度議員辞職をし、看板を下げる覚悟が必要なのではないだろうか。
現在の維新の会の混乱も、完全に維新の会に所属する議員に投票をした市民を置き去りにしたものだ。同党に投票した人たちは決して分裂を望んで投票したわけではない。12年の選挙では、民主党を離党して選挙に臨んだ候補者の多くが落選した。国民は看板を書き変える議員たちを厳しい目で見ている。それに気づかないのは議員本人たちだけだろう。(編集担当:久保田雄城)