A級戦犯合祀前の状態に 菅長官は見解示さず

2014年06月10日 06:38

 自民党の古賀誠・元幹事長が安倍政権の下で靖国神社の英霊を分祀し、A級戦犯が合祀されていなかった状態に戻してもらいたい旨を発言していることについて、その受け止めを記者団から質された菅義偉官房長官は、9日、「靖国神社は幕末以来、国のために戦い尊い命を犠牲にした約260万人の英霊を祀っている。他方、宗教法人である靖国神社においての祭祀については憲法20条が保障する信教の自由に関することであるので政府として見解を述べる立場にはない」と、信教の自由を保障された宗教法人としての靖国神社を前面に出して論理を展開。見解を示さなかった。

 靖国神社が他の宗教法人と全く同様であるとするなら、総理をはじめとして閣僚が総理や閣僚として特定の宗教法人を参拝するのは「政教分離」の観点から問題が生じることは否めない。やはり、特定の宗教にかかわるものでなく、無宗教の戦没者追悼公的施設を検討することが筋との意見が改めて注目される。これについて国会で改めて議論することも期待される。

 また、昭和天皇はA級戦犯の靖国神社への合祀以来、靖国神社には参拝されずに崩御されている。現在の天皇もその意思を受け継いでおられる。A級戦犯の親族らはどのような考えをお持ちなのかも公的な場で示されるのも必要なのではないか。

 いずれにしても、合祀、分祀が宗教法人である靖国神社のみが有する裁量ということであるなら、無宗教の追悼慰霊公的施設を検討することが解決の糸口を見出す道といえよう。(編集担当:森高龍二)