要介護者情報をソリューションで共有 日立が自治体向けクラウド型情報連携基盤を提供

2014年06月12日 07:04

 現在、日本は65歳以上の高齢者の人口が3000万人を超え、国民の約4人に1人が高齢者となっている。このような高齢化社会の中で、高齢者の生活を地域全体で支援する地域包括ケアシステムの重要性が高まっており、各自治体は、厚生労働省の主導のもと、2025年を目処にその構築を推進している。

 これを受け日立製作所<6501>は地域包括ケアシステムの構築をめざす自治体向けに、高齢者をはじめとする要介護者の情報を、必要な地域の関係者で高いセキュリティレベルのもと共有可能にするクラウド型の情報連携基盤「地域包括ケア支援自治体クラウドソリューション」の提供を7月1日から開始する。

 このソリューションは、従来、各団体が個別に保存、利用していた情報を高いセキュリティレベルを有したクラウド型の情報連携基盤で一括管理する。そして、関係者で情報共有を図るもの。

 日立製作所、株式会社日立産業制御ソリューションズ、株式会社日立メディコが連携し、2013年7月から2014年3月まで茨城県笠間市において実施した行政データを情報公開・共有することによる地域の高齢者向け医療・介護体制を支援するシステムを試験導入した実績をもとに開発したもの。

 従来、自治体や、地域の医療機関、薬局、介護事業者などが個々のデータベースに蓄積し把握、利用していた要介護者の緊急連絡先や要介護認定状況、健康診断結果、ケアプラン、お薬手帳、さらには現在の病状といった情報をクラウド上に集約する。家族や自治体、医療機関、救急隊、介護事業者などが、インターネット経由でパソコンやタブレット端末などからリアルタイムで閲覧することを可能にする。

 これにより、例えば、要介護者の容態が悪化し、救急車が出動した際、救急隊員が迅速に対象者の緊急連絡先や、過去の健康状態、介護状況、投薬情報などを把握した上で、病院や家族への連絡、確認を行うとともに、救急車から救急医に対して病状などをリアルタイムに伝えることが可能となる。

 また、従来、介護事業者のケアマネジャーが自治体の窓口や要介護者の自宅に出向いて入手する必要があった要介護認定に関わる情報や資料などを、介護事業者のパソコンやタブレット端末から入手可能になる。

 さらに、複数の個人・団体間で要介護者の個人情報を扱うため、要介護者本人の意思やシステム運用者のアクセス権限管理ポリシーに合わせた情報公開範囲の詳細設定やSSLと日立独自の暗号技術を組み合わせた二重暗号化通信、GPSによる指定場所以外での利用制限など、高度なセキュリティ機能を搭載している。
 
 日立は、多様化するヘルスケア市場のニーズへの迅速な対応に向けて、グループの経営リソースを集約し、顧客対応の一元化を図るべく4月1日付でヘルスケアグループを設立した。今後も、日立グループは、高度な医療機器とサービス、ITを組み合わせたソリューションを”One Hitachi”で提供し、ヘルスケア事業を積極的に拡大していく方針だ。(編集担当:慶尾六郎)