「介護は自宅より施設で」 単身高齢者の介護準備とは

2014年06月07日 12:21

 高齢化が進むわが国では今後、1人暮らしや夫婦2人で暮らす高齢者世帯の増加が見込まれている。では、実際に1人暮らしをする高齢者では、将来の介護についてどのような意識をもち、そのときに向けてどのような準備を行っているのだろうか。

 第一生命保険<8750>のシンクタンク、株式会社第一生命経済研究所では、自宅で1人暮らしをする全国の 65~79 歳の男女 527 名に、単身高齢者の介護準備についてのアンケート調査を実施、29日にその結果を発表した。

 今回の調査では、内閣府が行った先行研究に基づく独居化の4つの類型を提示して、回答者にどの類型にあてはまるのかを尋ねた。その結果、もっとも多かったのは「配偶者と死別・離別して子どもあり(結婚したが配偶者と死別、離婚または別居し、子どもはいるが別居している)」と答えた人で、59.2%を占めた。

 2位以下には「独身でずっと独居(独身でずっと1人暮らしだった)」(13.3%)、「配偶者と死別・離別して子どもなし(結婚したが配偶者と死別、離婚または別居し、子どもはいない)」(11.6%)が続いている。「独身で同居者と死別・離別して独居(独身で家族・親族や友人等と暮らしていたが、死別・離別した)」という人も 6.8%を占めた。

 また、今回の調査では、『身体が虚弱化した場合』と『記憶力・判断力が低下した場合』のそれぞれについて、将来、介護を受けたい場所をたずねた。その結果、「自宅(「現在の住宅に、とくに改造などはせずそのまま住み続けたい」「現在の住宅を改造し、住みやすくしてそのまま住み続けたい」の合計、以下同じ)」と答えた人は、『身体が虚弱化した場合』が30.0%、『記憶力・判断力が低下した場合』が20.5%。

 一方、「施設等(「ケア付き住宅」「有料老人ホーム」「特別養護老人ホーム」「病院」の合計、以下同じ)」と答えた人は、前者が 40.1%、後者が 46.9%だった。つまり、いずれの場合も「施設等」の割合が「自宅」を上まわり、『身体が虚弱化した場合』に比べて、自身の介護についての意思決定が難しくなる『記憶力・判断力が低下した場合』に高くなっていることがわかる。

 将来希望する介護の方法は、外部サービス中心の介護を希望する人の割合(「ホームヘルパーなどの外部の介護を中心に、家族による介護も受けたい」「ホームヘルパーなどの外部の介護だけを受けたい」の合計割合、以下同)は、『身体が虚弱化した場合』で 84.5%、『記憶力・判断力が低下した場合』で 83.7%となっている。

 つまり、いずれの場合でも、8割以上の人は、外部サービス中心の介護を受けたいと考えていることがわかる。 また、『身体が虚弱化した場合』(15.5%)、『記憶力・判断力が低下した場合』(16.3%)のいずれの場合も、16%前後の人は、家族中心の介護を希望している。

 続いて、将来、自分に介護が必要になったときのための準備状況についての回答は、「特に準備はしていない」(48.0%)が最も多かった。つまり、単身高齢者の約半数は、自分に介護が必要になったときのための準備を特に行っていないことになる。

 一方、行われている準備のうちもっとも多くあげられたのは「預・貯金をする」(30.6%)であり、「公的介護保険制度について情報を集める」(21.8%)がこれに続いた。 注目されるのは、「ペットの世話の依頼先や引き取り先を検討する」(17.9%)が第3位だったこと。サンプル数は限られているが、ペットを飼っている単身高齢者の場合、自分自身の介護に向けた準備に加えて、自分に介護が必要になった場合のペットの行く末も重要な準備項目の1つになっている。(編集担当:慶尾六郎)