MotoGP第7戦 M・マルケス接戦を制して開幕7連勝

2014年06月16日 12:11

カタルーニャGP

V・ロッシとM・マルケスの攻防

 6月15日、スペイン・バルセロナのカタルーニャサーキットでMotoGP決勝が行われた。カタルーニャサーキットは、全長4,727m。1,047mという非常に長いホームストレートを持ち、トップスピードは340kmを超える。その一方で、逆バンクやフラットでタイトなコーナー、中高速コーナーが混在する非常にテクニカルなコースで、高いライディング技術や緻密なマシンセッティング、タイヤマネジメントがカギを握るMotoGP屈指の難コースだ。

 今回のカタルーニャGPでは予選で大きな動きがあった。開幕から6戦連続でポールポジションを獲得していたマルク・マルケス(レプソルホンダ)だが、予選トップはチームメイトのダニ・ペドロサ(レプソルホンダ)。M・マルケスは3番グリッドとなった。また、この予選終盤で、M・マルケスは今季初の転倒を喫しており、その圧倒的な強さにわずかながら陰りが見えた。

 また、ホルヘ・ロレンソ(モビスターヤマハMotoGP)が予選で2番グリッド、同サーキットでMotoGPクラス6勝という記録を持つバレンティーノ・ロッシ(モビスターヤマハMotoGP)は5番グリッドからのスタート。カタルーニャサーキットはヤマハ勢が得意とするコースでもあるため、この二人の活躍にも期待が高まる予選結果となった。

 気温25℃、路面温度44℃のドライコンディション。空は厚い雲で覆われ、いつ雨が降り出してもおかしくない曇天の下、決勝はスタートした。

 ポールポジションのD・ペドロサは好スタートを切ったが、ホールショットを決めたのは2番手スタートのJ・ロレンソだった。5番手スタートのV・ロッシも1コーナーで3番手まで順位を上げ、さらに1周目で早くも2番手のD・ペドロサをパス。3番手スタートのM・マルケスはスタート直後に4番手に後退し、レース序盤はD・ペドロサと3番手を争う展開となった。

 レース序盤は、先を行くモビスターヤマハMotoGPの二人を、レプソルホンダの二人が追う形となった。4周目にはV・ロッシはJ・ロレンソを抜きトップに躍り出て、J・ロレンソ、M・マルケス、D・ペドロサの3人は抜きつ抜かれつの2番手争いを見せた。だが、10週目前後からJ・ロレンソが遅れはじめ、トップ争いはV・ロッシ、M・マルケス、Dペドロサの3人に絞られた。

 14周目、2番手のM・マルケスはトップを行くV・ロッシを1コーナーで攻めたが、接触を回避してコースアウトし、V・ロッシを追い詰めるもののなかなか抜ききれない。

 19周目にはM・マルケスとD・ペドロサが手を上げ、イエローフラッグを要求、順位が乱れたが、20周目、残り6周でM・マルケスはV・ロッシをパスしてトップに立ち、また22周目にはD・ペドロサもV・ロッシを抜いて2番手となった。

 トップ争いはファイナルラップまでもつれこんだ。チームメイトのM・マルケスとD・ペドロサはコーナー毎に順位が入れかわる激しいバトルを展開、M・マルケスの連勝をストップするのは俺だといわんばかりのD・ペドロサがラストチャンスに激しくコーナーに攻め込んだがM・マルケスに接触。D・ペドロサはラインを大きく外すことになり、この隙をついて3番手のV・ロッシが2番手に浮上した。

 最終結果は1位M・マルケス、2位V・ロッシ、3位D・ペドロサ。4位にはJ・ロレンソ、5位に最近調子を上げているステファン・ブラドル(LCRホンダMotoGP)が入っている。M・マルケスは、7連続ポール トゥ ウィンこそ逃したものの、2002年にV・ロッシが打ち立てた7連勝の最年少記録を更新した。

 また、同日行われたMoto3クラスの決勝では弟のアレックス・マルケス(エストレア・ガルシア・O.O)が優勝しており、兄弟同時優勝の快挙も成し遂げた。

 結果だけを見ると、開幕無傷の7連勝のM・マルケスに敵は無いように思える。しかし、今回のカタルーニャGPでは、レースは終盤までもつれこみ、上位3人は誰が優勝してもおかしくないレース展開だった。第6戦もJ・ロレンソとぎりぎりのバトルを展開しており、M・マルケスと他のライダーとの差は開幕直後からは確実に縮まっている。カタルーニャGPでは、ポールポジション獲得の連続記録もストップしており、D・ペドロサ、V・ロッシ、J・ロレンソにも勝機は十分にある。

 無傷の全勝優勝に向けて突き進むM・マルケスを止めるのは誰か、それともM・マルケスが他の追随を振り切って連勝を重ねるのか、どちらにしてもこれからの展開からは目が離せない。

 次戦は6/28(土)のオランダ・アッセンでのレース。アッセンは、第1回大会からグランプリレースが行われている伝統のサーキットであり、昨シーズンV・ロッシが強さを見せつけて3年ぶりに優勝した場所でもある。アッセンでのレースは気まぐれな天候とそれに合わせたセットアップが鍵となる難しいサーキットの一つ。天候やコンディション次第では今シーズン最大の見せ場が訪れる可能性もある。(編集担当:熊谷けい)