2014年MotoGP第2戦アメリカズGP決勝は、4月13日、テキサス州オースティンの「サーキット オブ アメリカズ」で開催された。夕方からの雷雨予想という不安定な天候が懸念されたが、決勝レースはドライコンディションで行われた。
サーキット オブ アメリカズは、F1の開催を目的として作られた全長5513m、高低差41mというタフでテクニカルなコース。ジェットコースターのようなコースは、ライダーの体力とテクニック、そしてマシンとタイヤの耐久性とバランスが要求される難コースだ。
このコースを得意としているのが、昨シーズンの王者で開幕戦を制したマルク・マルケス（レプソルホンダ）。予選から圧倒的な速さを見せたM・マルケスは、ポールポジションを獲得し、最高の形で決勝を迎えた。予選2番手はM・マルケスのチームメートのダニ・ペドロサ、3番手をステファン・ブラドル（LCRホンダMotoGP）が獲得し、フロントローをホンダ勢が独占した。
曇り空の中、気温26℃、路面温度30℃で迎えたアメリカズGP決勝。最大の波乱はスタートで起こった。予選5番手のホルヘ・ロレンソ（モビスターヤマハMotoGP）が、明らかなジャンプスタートという大きなミスを犯したのだ。ジャンプスタート後、そのまま止まらずに第1コーナーに向かったJ・ロレンソの判断は結果的には英断となったが、ライドスルーペナルティを受け、J・ロレンソは2周目にして最後尾につく形となった。
大波乱となったスタートだったが、ポールスタートのM・マルケスはレース序盤からファステストタイムを連発し、後続を引き離して独走状態を築く。2番手のペドロサも3番手グループを引き離し、スタート直後からレプソルホンダチームが独走する形となった。
1・2番手が独走する一方、熾烈な攻防が繰り広げられたのが3番手グループだ。3番手争いはレース序盤から中盤にかけて、アンドレア・イアンノーネ（プラマック・レーシング）、カル・クラッチロウ（ドゥカティ）、ブラッドリー・スミス（モンスター・ヤマハ・テック3）、バレンティーノ・ロッシ（モビスターヤマハMotoGP）、アンドレア・ドビツィオーゾ（ドゥカティ）、S・ブラドルが入り乱れる大混戦となった。
しかし、、一時は3番手まで上昇したV・ロッシは9周目からペースが落ちはじめ、ポジションはじりじりと後退。C・クラッチロウもペースが上がらず、ピットインしてタイヤを交換し、3番手争いから離脱した。さらにC・クラッチロウは13週目、12コーナーで転倒し、戦線離脱を余儀なくされた。
レース終盤になっても、レプソルホンダの独走態勢は変わらず、最終ラップはM・マルクスは余裕のクルージングで締めた。M・マルケスはファイナルラップの最終コーナーであわや転倒かと思わせるぐらつきはあったものの、それ以外は非常に安定した走りを見せ、2番手のD・ペドロサに4秒以上の差をつけ圧勝した。
3番手争いはレース終盤までS・ブラドル、B・スミス、A・ドビツィオーゾがデッドヒートを繰り広げたが、最終的にA・ドビツィオーゾがこれを制し、ファクトリー2という新しいカテゴリーで参戦したドゥカティチームは今シーズン初となる表彰台を獲得した。
M・マルケスは、開幕から2戦連続のポールトゥウィンを達成したが、これは19シーズンぶり、マイケル・ドゥーハン以来の快挙である。
また、アメリカズGP開幕前に、今季限りでの引退を明らかにしたコーリン・エドワーズ（NGMフォワードレーシング）は、レース終盤でのリタイアを喫しており、母国開催のGPを残念な形で終えた。
好調のレプソルホンダチームに比べて、いまいち奮わなかったのがモビスターヤマハMotoGPのJ・ロレンソだ。J・ロレンソはライドスルーペナルティを受けた後、驚異的な追い上げを見せ10位に食い込んだが、2戦を終えての獲得ポイントはわずか6ポイント。チームメイトのV・ロッシも開幕戦は2位につけたものの、2戦目は8位に終わった。
2戦目を終了した時点でM・マルケスは早くも50ポイントを獲得し、ポイントランキング2位のD・ペドロサとは14ポイント差、3位のV・ロッシとは22ポイント差と大きなリードを手に入れた。
次戦は15年ぶりの開催となるアルゼンチンGP。新サーキットでのレースとなるためレース展開の予測は困難だ。だが、ライダー、チームともにまっさらな条件でのレースとなることを考えると、チームやライダーの本質が窺えるレースになることは間違いない。M・マルクスがこのまま独走を続けるのか、またドゥカティがこのまま好調をキープできるのか、さらにはヤマハが巻き返しを図るレースとなるのか、第3戦はシーズンの今後を占うレースになりそうだ。（編集担当：熊谷けい）
