MotoGP第6戦イタリア M・マルケスが激戦を制し6連勝

2014年06月02日 11:12

イタリアGP

表彰台のJ・ロレンソとV・ロッシ

 6月1日、MotoGP第6戦、イタリアGP決勝が伝統のムジェロサーキットで開催された。

 ムジェロサーキットは、全長5,245m、直線長1,141m。直線距離が長く、また高速コーナーを中心とした起伏のあるハイスピードサーキットは、抜きどころも多く、MotoGPファンからの人気も高い。特に、長いストレートでのスリップストリームを利用したオーバーテイクはこのサーキットの大きな魅力だ。

 また、イタリアはヴァレンティーノ・ロッシ(モビスターヤマハMotoGP)の母国。サーキットの観客席はV・ロッシのシンボルカラーのイエローで埋め尽くされ、V・ロッシの参戦300回記念のグランプリでの活躍にサーキット中が注目した。

 そんな今回のイタリアGPはフリー走行・予選から見どころが多かった。

 予選で一番時計を出し、ポールポジションを獲得したのは、開幕以来5戦連続のポールトゥウィンで圧倒的な強さを見せているマルク・マルケス(レプソルホンダ)だったが、フリー走行および予選では、アンドレア・イアンノーネ(ドゥカティ)が予想外の活躍を見せた。

 A・イアンノーネは、フリー走行でMotoGPでは史上最高速度となる349.6kmをマーク。さらに、予選でも好調をキープし、自身初のフロントロー、2番グリッドを獲得した。また、第5戦までは不調に喘いでいたホルヘ・ロレンソ(モビスターヤマハMotoGP)が3番グリッドを獲得し復調の兆しを見せ、そのスタートには注目が集まった。

 母国GPとして多くのファンを集めたV・ロッシは予選でタイヤチョイスに失敗して10番グリッドスタートとなった。

 決勝スタート、気温26℃、路面温度45℃のドライコンディションの中、2番グリッドのA・イアンノーネは抜群のスタートダッシュでホールショットを決めた。

 だが、ファーストラップを制したのは、3番手スタートのJ・ロレンソだった。J・ロレンソはスタートではA・イアンノーネに出遅れたものの、コーナーブレーキングでA・イアンノーネを難なく抜き、そのまま逃げの態勢に入った。

 これによってポールスタートのM・マルケスと抜群のストレートスピードを誇るA・イアンノーネがレース序盤で2番手争いをする形となった。

 10番手スタートのV・ロッシはスタートをうまく決めて順位を上げ、2周目には4番手まで浮上。4周目には2番手争いに敗れたA・イアンノーネを抜いて3番手まで順位を上げた。

 4周目以降は1番手J・ロレンソ、2番手M・マルケス、3番手V・ロッシの態勢で、4番手以降をじりじりと突き放した。

 レース中盤から、M・マルケスはJ・ロレンソの後ろにぴったりとつけ周回を重ねていたが、17周目、J・ロレンソがストレートで犯したミスの隙をついてトップを奪った。

 これまでの5戦ではM・マルケスがトップを奪って逃げ切る形が多かったため、今回もこのままM・マルケスが逃げ切るかに思われた。だが、J・ロレンソは連続コーナーでM・マルケスをすぐさま抜き返し再びトップに立つ。

 以後、レース終盤はJ・ロレンソとM・マルケスによるデッドヒートが繰り広げられ、トップが目まぐるしく変わる展開となった。

ストレートスピードで勝るホンダのM・マルケスと、コーナーブレーキングで勝るヤマハのJ・ロレンソのトップ争いは熾烈を極め、抜きつ抜かれつ、接触ギリギリのバトルにはサーキット中が興奮し、固唾をのんだ。

このバトルはファイナルラップまで継続したが、最終的にはM・マルケスがJ・ロレンソをわずか0.121秒差で押さえこんでチェッカーを切り、今シーズン負けなしの6戦連続ポールトゥウィンを決めた。

 V・ロッシは3位、スタートで出遅れたD・ペドロサは4位、序盤トップに立ちレースを盛り上げたA・イアンノーネは7位に終わった。

 今回のイタリアGPで最も収穫があったのはJ・ロレンソだった。開幕以不調が続き、ミスも目立ったJ・ロレンソだが、今回のイタリアGPでは今シーズン無敵の状態のM・マルケスに劣らない走りを見せ、M・マルケスの牙城を崩す可能性を大いに感じさせた。

 J・ロレンソがこの好調をキープできるか否か、これは今シーズンのMotoGPにおいて注目したいポイントだ。

 また、V・ロッシも好調をキープしており、ドゥカティ勢も予選・フリー走行を中心に記録を出してきている。ルーキーのポル・エスパロガロ(モンスターヤマハテック3)も第5戦からの好調を維持して本グランプリでも5位に入賞するなど、まだまだ今シーズンの勢力図が大きく変わる可能性は十分にある。

 もちろん、M・マルケスがどこまで連勝記録を伸ばすのかというは今シーズンの最も大きな見どころだろう。

 次戦はスペイン・カタルーニャGP。M・マルケスやJ・ロレンソ、D・ペドロサなどのスペイン人レーサーにとっては母国グランプリとなる。

 昨年のカタルーニャGPは、J・ロレンソが優勝、2位にD・ペドロサ、3位M・マルケスという結果だったことを考えると、M・マルケスの連勝をJ・ロレンソが阻止する構図も見えてくる。M・マルケスにとっても、他のライダーにとっても、カタルーニャGPが勝負どころとなることは間違いないだろう。(編集担当:熊谷けい)