MotoGP第3戦 M・マルケス3戦連続のポール・トゥ・ウィン

2014年04月28日 12:12

アルゼンチン

J・ロレンソとM・マルケスのデッドヒート

 4月27日、MotoGpでは15年ぶりとなるアルゼンチンGP決勝が行われた。レースの舞台となる「アウトドローモ・テルマス・デ・リオ・ロンド」は2008年に完成し、2013年に大幅改修が行われたサーキット。MotoGPは初開催ということもあり、各チームデータが十分に得られない中、決勝を行うこととなった。

 アウトドローモ・テルマス・デ・リオ・ロンドは、1周4806m、メインストレート1076m、右コーナーが9、左コーナーが5。中高速コーナーを中心としたシンプルなサーキットは「チャレンジングなコース」として、MotoGPライダーからの人気は高い。ただ、レースのデータが少ないことから、タイヤチョイスはライダーによって大きく分かれた。

 15年ぶりの開催ということもあり、アルゼンチンのMotoファンの大きな期待の中、迎えたアルゼンチンGP決勝、気温24℃、路面温度21℃のドライコンディション。ホールショットを決めたのは、予選2番手のホルヘ・ロレンソ(モビスターヤマハMotoGP)だった。J・ロレンソは前戦、アメリカズGPでのジャンプスタートという失態を犯したが、今回のアルゼンチンGPではその印象を見事に払拭する抜群のスタートを見せた。
 
 これに対してスタートで順位を大きく落としたのが、ポールポジションを獲得したマルク・マルケス(レプソルホンダ)だった。開幕戦から2連続ポール・トゥ・ウィンを決め、プラクティスから好調を保っていたM・マルケスだったが、スタート直後は7番手あたりまで順位を落とし、後方から追い上げる形になった。

 2周目以降、J・ロレンソがトップで着実に周回を重ねる中、アンドレア・イアンノーネ(プラマックレーシング)、バレンティーノ・ロッシ(モビスターヤマハMotoGP)、アンドレア・ドビツィオーゾ(ドゥカティ)、ステファン・ブラドル(LCRホンダMotoGP)、ダニ・ペドロサ(レプソルホンダ)、M・マルクスなどが入り乱れ、2番手以降の順位は目まぐるしく変動した。

 この熾烈な攻防の中、着実に順位を上げていったのがやはりM・マルケスだった。M・マルケスはスタート直後こそ順位を落としたものの、レース序盤、5周目で早くもトップを行くJ・ロレンソに追いつき、その後はJ・ロレンソとM・マルケスの二人が3番手以降を引き離す形となった。

 レース中盤、3・4番手争いを繰り広げていたV・ロッシとD・ペドロサがファステストラップを競うように出し、2番手のM・マルケスとの差をわずかに詰めたが、17周目、残り9周というところでM・マルケスがJ・ロレンソを一気にかわし、トップに躍り出た。その後、M・マルケスは後続との差を大きく広げ、最後まで危なげない安定した走りで勝利を収めた。

 さらにD・ペドロサは2番手のロレンソとの差を着実に詰め、残り2周というところでJ・ロレンソをパスして2位フィニッシュ。最後まで粘りを見せたJ・ロレンソだったが、アルゼンチンGPは3位でフィニッシュ、4位には同チームのV・ロッシが入った。

 前戦アメリカズGPと同じく、レプソルホンダ勢のワンツーフィニッシュとなったアルゼンチンGPだが、今回はモビスターヤマハMotoGPの健闘も感じられた。特に、開幕戦から不調続きだったJ・ロレンソが、アルゼンチンGPでは予選・決勝を通してまずまずの走りを見せ、復調の兆しを見せている。4位にはV・ロッシも入り、レプソルホンダVSモビスターヤマハMotoGPという形もはっきりしてきた。今後はヤマハ勢がホンダ勢をどう追い上げていくかにも注目したい。

 また、S・ブラドルは5位、A・イアンノーネは自己最高位の6位、ブラッドリー・スミス(モンスターヤマハタック3)が7位に入るなど、5位以降は若手ライダーを中心とした活躍が見られ、この争いも今シーズンの大きな楽しみとなっている。

 今回のアルゼンチンGPでも、やはり圧倒的な強さを見せたのはM・マルケスだった。開幕戦から3連続のポール・トゥ・ウィンという史上初の快挙を成し遂げた絶好調のM・マルケス。フリー走行・予選を通して常に1番時計を叩きだし、今シーズンは早くも敵なしという状況である。今後、誰がこのM・マルケスの独走を止めるのか、これは今シーズンの大きな課題である。

 次戦・ヨーロッパラウンドの初戦となるのはスペイン、へレスサーキット。今回表彰台を獲得したM・マルケス、J・ロレンソ、D・ペドロサをはじめとするスペイン人ライダーにとっては母国GPとなる。

 今シーズン敵なしのM・マルケスが前人未到の記録を伸ばすのか、はたまた復調の兆しが見えるJ・ロレンソが一糸報いるか、それともD・ペドロサやV・ロッシが意地を見せるのか。あるいは若手・伏兵がホンダ・ヤマハ勢に割り込んでくるのか……。

 注目の第4戦スペインGP決勝は次週、5月4日に行われる。(編集担当:熊谷けい)