5月の貿易収支9090億円の赤字。23ヶ月連続

2014年06月23日 07:16

 「貿易赤字は問題ではない。経常収支の赤字の常態化が問題なのだ」こういった論旨の文章や意見をよく耳にすることがある。単純に言ってしまえば貿易赤字とは輸出額よりも輸入額の方が増えることであり、つまりはそうして輸入するお金が日本にはあるということなのだが、しかしこの国の借金は2013年度末には過去最大の1017兆9459億円にまで膨れ上がっている。そして、それを返せる見通しは今のところ立っていない。はたしてこれでも、貿易赤字は問題ではないのだろうか?

 そして18日に財務省が発表した5月の貿易統計(速報)によれば、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支(原数値)は9090億円の赤字であったことが分かった。これで23ヶ月連続の赤字となり、過去最長を更新することとなった。しかし原油の輸入が大幅に減少したことなどから、赤字額は前年同月よりも2ヶ月連続で減少した。

 5月の輸出額は、前年同月比2.7%ダウンの5兆6076億円であった。寒波の影響によるアメリカ向けの自動車の輸出の落ち込みが影響して、15ヶ月ぶりのマイナスとなった。また自動車そのものの輸出も減少し、前年同月比6.2%ダウンの42万8988台で、金額も前年同月比4.3%ダウンの7595億6000万円であった。こうして自動車の輸出額がマイナスとなるのは14ヶ月ぶりのこと。そのほか、鉱物性燃料が前年同月比45.7%ダウン、船舶が前年同月比32.5%ダウンという結果であった。

 輸入額は消費税増税前の駆け込み需要に伴う反動減などから、前年同月比3.6%ダウンの6兆5165億円であった。こうして前年同月を下回るのは19ヶ月ぶりのこと。石油石炭税の引き上げにより、原油は前年同月比15.1%ダウン。また反動減により国内の消費が弱まった影響を受け、スマートフォン(多機能携帯電話)などの通信機は前年同月比36.7%ダウンという結果であった。

 赤字額を地域別に見てみると、アメリカ向けの黒字幅が4ヶ月連続で3995億円と縮小し、またアジア向けの黒字幅の3割以上縮小した。EU向けは自動車輸出が持ち直したことから赤字幅が縮小。中国向けも赤字幅は減少した。(編集担当:滝川幸平)