三菱商事が豪州穀物会社を買収 豪州でアジア向け穀物調達力を強化

2014年06月26日 08:32

 東南アジアを中心に新興国では、中間所得層の急速な拡大を背景に生活必需品の需要が増大している。なかでも、豪州は、穀物の中でも、パン、麺類、菓子などの原料となる小麦の一大生産国であり、東南アジア向けでは最大の輸出国といわれている。

 今回、三菱商事<8058>は、増大するアジアの需要に対応したグローバルベースの供給ソースを拡充するため、在シンガポール農産物商社Olam International Limited (OLAM社)が保有する豪州の穀物事業会社Olam Grains Australia Pty Ltd社(OGA社)の株式80%を融資金等含め約64億円で取得することに合意したと発表した。

 OGA社は、東豪州ニューキャッスル港の輸出施設New Castle Agri Terminal(輸出ターミナル)の株式32.5%を保有し、年間100万トン超の穀物を取扱っている。OGA社の株式取得後、三菱商事として初めて豪州で運営する輸出ターミナルを有効活用し、穀物の集荷機能を一層強化していく。また、100%子会社の在豪州配合飼料製造・穀物集荷会社Riverina社とのシナジーを高め、競争力ある豪州産穀物の安定供給体制を構築していく方針だ。

 東南アジアでは人口増加と経済発展による食生活の西洋化に伴い、小麦需要が増加しており、地理的優位性のある豪州産小麦の重要性は益々高まる見通しだ。三菱商事はこのニーズを商機と捉え、国内外の有力企業と共に、インドネシアをはじめとする新興国で生活必需品のサプライチェーン構築に取り組んでいる。これはその上流分野に位置するもので、グローバルベースでの食糧資源供給ソースを拡大し、骨太のサプライチェーンを構築することで、競争力の強化を図る。

 米国農務省によると、2013年/14年度の小麦の輸入国は1位が北アフリカ5ヶ国、2位が中東10ヶ国、3位が東南アジア5ヶ国と、東南アジアはトップ3に入っており、その輸入量も1600万トンである。三菱商事は2013年4月にインドネシアの大手製粉会社SribogaFlour Millの株式10%を取得した。今回は、それに続く同社の東南アジア戦略の一環だ。(編集担当:慶尾六郎)