三菱商事<8058>は、JX日鉱日石開発が50%保有する日石ミャンマーの株式の10%を取得したと発表した。日石ミャンマーは、ミャンマー・イェタグン・ガス権益の19.3%を保有している。これによって三菱商事は同国において石油・ガス上流プロジェクトに初めて参画する。
このプロジェクトはマレーシア国営石油会社ペトロナスの子会社がオペレーターとして操業しており、日石ミャンマー持分の平均販売量は天然ガス日産約5,000万立方フィート、コンデンセート日産は約800バレルで、同国最大のヤダナ・ガス田に次ぐ規模のガス田。また、同鉱区内には現在開発中の既発見ガス田が存在し、さらに新たなガス田の発見も期待されるプロジェクトだ。
三菱商事は今回の参画を機に、JX日鉱日石開発とともにイェタグン・ガス田プロジェクトの事業価値向上に貢献し、さらにミャンマーにおける石油・ガス上流プロジェクトの積極的な推進を通して同国を含むアジア域内のエネルギー安定供給を図っていくとしている。
イェタグン・ガス田は1992年に発見され、2000年から生産を開始しており、天然ガスはパイプラインでタイ国営石油会社PTTに販売、また、天然ガスの生産に随伴して生産されるコンデンセートは浮体式貯蔵積出設備(FSO)に一旦集積されミャンマー国内・海外向けに販売している。
ミャンマーでは、今年3月に三井物産<8031>が天然ガス開発に参画する計画を明らかにしている。石油天然ガス・金属鉱物資源機構などの調査によれば、ミャンマーの天然ガス埋蔵量は11兆8,000億立方フィートで、東南アジアでは第4位。
1998年にPTTグループなどと開発したヤダナガス田から、タイに向けてパイプライン輸出を開始しているが、後の欧米による経済制裁で開発が遅れていたという事情がある。しかし、2011年より民主化改革と対外経済開放路線を進めたミャンマーは、経済制裁解除に伴い、海外からの投資が加速している。(編集担当:久保田雄城)