火事や台風、また水漏れなどにより保有する建物や財産が被害に遭った時、その損害を補償してくれるのが「火災保険」であり、住宅を購入する際、ほとんどの人がこの保険に加入する。しかし2日、損害保険会社同士でつくる第三者機関である損害保険料率算出機構が、火災保険の保険料の基準となる「参考純率」を平均3.5%引き上げるとの発表を行った。こうして基準を引き上げる理由として損害保険料率算出機構は、「近年、自然災害や水漏れ事故などにより保険金の支払い増加していること」や、「地球温暖化により自然災害の将来予測に不確実な要素が増しているとの研究成果が発表されたこと」などを挙げている。各損保会社は個別に値上げ幅の検討を行い、2015年度中にも保険料を引き上げる見通しだ。
こうして損害保険料率算出機構が「参考純率」の引き上げを行うのは、05年以来、9年ぶりのこととなる。損害保険料率算出機構は毎年、会員損保会社の保険収支状況をもとに「参考純率」の見直しを行っている。火災保険はその契約内容によっては火事だけでなく、台風や大雪、豪雨などによる風水被害による損害についても補償してくれるが、しかし近年こうした自然災害による保険金の支払いが増えており、今回の引き上げの要因にもなっている。
今後、各損保会社は損害保険料率算出機構の「参考純率」を目安に、それぞれ値上げ幅と値上げ時期を決める。しかし、必ずしも損害保険料率算出機構の出した「参考純率」通りに引き上げる必要はない。そのため各社それぞれ値上げ幅は異なるが、大半は「参考純率」の3.5%前後になるとみられている。各社とも、15年度中にも引き上げを行う見通しだ。
今回引き上げが発表された火災保険以外にも、火災保険と同時に加入する地震保険の保険料も、今月1日に全国平均で15.5%値上げされたばかりだ。4月の消費税増税と相まって、こうして相次ぐ保険料の値上がりにより各家庭の家計が圧迫されることは間違いないだろう。(編集担当:滝川幸平)