住宅ローン金利は過去最低 金利の仕組みを知っていますか

2014年06月28日 20:04

 住宅ローン金利が過去最低の水準を更新している。基準となる市場金利が低いままなのに加え、4月の消費増税後に住宅を買う人が減り、銀行間の競争に拍車がかかったためだ。一部のインターネット銀行は期間1年、3年で年0.35%の預金金利を提示している。同一の銀行内ではないものの、預金とローンの金利が並ぶ異例の事態も生じている。足元の物価上昇率は増税の影響を除いても1%を超えており、実質的に金利はマイナスになっている。

 ところで、住宅ローンの金利には変動金利と固定金利があるが、それぞれの違いを知らない人は意外に多い。短期金利の代表は、「無担保コールレート」だが、これは日本銀行の金融調節によってコントロールされている。これに対して長期金利は、長期資金の需要・供給の市場メカニズムの中で決まるという色合いが強く、将来の物価変動や将来の短期金利の推移などについての予想が大切な役割を演ずる特徴がある。住宅ローンの変動金利は日銀のコントロール下にある無担保コールレートが決定要因であるのに対し、固定金利は市場で決まるのだ。

 2013年5月、当時のバーナンキ米連邦準備理事会(FRB)議長が量的緩和を縮小させる可能性に言及したことから米国の長期金利が急上昇したことを受け、日本国内の長期金利も急上昇した。この時、メディアに登場するファイナンシャル・プランナーたちは口をそろえて将来の金利急騰リスクをはやし立て、変動金利から固定金利への乗り換えを推奨した。

 実は、この時も無担保コールレートは日銀によって完全にコントロールされており、変動金利は微動だにしなかった。一方、長期金利の上昇に伴い、固定金利は急上昇した。この時に慌てて固定金利に乗り替えた人は金利の高値づかみをしたことになる。もし、金利が決定する仕組みを知っていたなら、そして日銀が金融緩和を継続する方針であることを知っていたなら、きっと長期金利の上昇にも泰然と構えていることができただろう。

 ローン金利の引き下げは預金金利との差である利ざやの縮小を招き、銀行の利益を減らす要因となる。貸し倒れの費用も含めると、既に収益環境は厳しくなっており、さらに金利を引き下げる余地も少なくなっている。重病にかかった場合に返済が免除される保険など、金利以外のサービス拡充へと競争の舞台は移っている。今こそ住宅ローンについて、よく考えるにふさわしいタイミングではないだろうか。(編集担当:久保田雄城)