今年1~5月において日本が中国に直接投資した金額は、前年同期と比較すると42%も激減していることが分かった。中国商務省の発表によると、同期間における海外からの直接投資実行額は489億ドルに上り、全体としては前年同期で2.8%増加している結果となっている。しかし、日本の直接投資額は42.2%も減少しており、約2,038億円にとどまることとなった。中国商務省の沈丹陽報道官は、政治的摩擦による日中関係悪化が経済にも影響を与えていると見ている。今後も日中間における投資や経済活動は冷え込んでいくと予想しており、このような流れは日本と中国の双方にとって不利益をもたらすと見解を述べた。
日本による中国投資の冷え込みが起こっている背景には、政治的関係悪化以外にも、急上昇している中国の人件費や、高騰する中国都市部の地価の問題などが絡んでいる。
中国では2012年に平均20.2%の賃金上昇率を記録しており、13年には27の主な都市で最低賃金が引き上げられさらに平均17%も上昇した。人件費の高騰は、中国で工場を設置し、現地で従業員を確保している日本企業にとって、非常に重い負担となっている。
また、土地価格も北京オリンピックを挟んでバブルと言われるほど上昇している。中心都市の商業施設の賃料は、場合によっては東京よりも高いという声もある。現在は若干地価上昇が鈍化傾向にあると見られ、一部の不動産では物件を値下げする動きも認められている。しかしそれでも、全体として見ると依然として地価は上昇し続けているのだ。
他にも、アベノミクスによる円安の影響や、日本の投資先が東南アジアへ移っていることも、中国への投資減の要因として挙げられている。シンガポールやマレーシア、タイなどに向けて日本が行った13年の東南アジアへの投資額は、2兆円規模にのぼり、今後さらに中国から東南アジアへと投資先が移り変わっていくことが予想されている。(編集担当:久保田雄城)