徴兵制は憲法違反と総理 説得力欠く反論

2014年07月15日 09:11

 安倍晋三総理は14日開かれた衆議院予算員会での集団的自衛権行使容認をめぐる閣議決定を受けての外交・安全保障政策の集中審議で、徴兵制について自ら触れ「安倍政権は徴兵制を行うと真顔で多くの方々が議論されていて、そのうえで、反対という事を言っておられる方々が随分いる。徴兵という言葉が出て、もしかしたら私の子どももという気持ちになるかもしれないが、徴兵制については憲法違反であるということは、私はこの委員会で明確に述べてきている。徴兵はまったく考えられない」と強く反論した。小野寺五典防衛大臣は席で総理の意見を聞きながら笑った。

 しかし、歴代内閣が集団的自衛権については「権利としてはあるが、行使は認められない」としてきたものを、内閣が変わり、安全保障環境が変わったと言って「一定の条件の下で認められる」と大きく解釈変更し、これを正当化しているのに、次の政府、次の総理が同じことをやらないとなぜ言い切れるのか。今回、解釈変更の閣議決定をしたことにより、総理の反論には説得力が無くなった。

 総理は、徴兵制については「まったく根拠のない批判だ」としたが、「徴兵制は苦役である」との解釈が政府の解釈であるために、憲法違反といえるので、徴兵制は苦役にはあたらず、国家の存立を維持し、国民の権利を確保するための義務だと解釈変更がなされれば、徴兵制を違憲とする根拠事態がなくなってしまう。総理はその危険性を疑う国民にどう説明するのか。

 さらに集団的自衛権の行使で危険度が増したと考える国民が増え、志願制で自衛隊員が確保できなくなった場合(現在でも陸海空で定員の1割近く割り込んでいる状態)、どうするのか。その点に踏み込んだ説明がなく、将来に向けた担保がないのも説得力を欠く結果になっている。

 総理は「行使容認には国の存立が脅かされ、国民の生命および自由、幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある場合、そこで初めて自衛隊は武力を行使する。そうならないように外交的な手段を尽くしていく」と強調。しかし、それもまた政府が判断するもので、明確な基準にならないとの批判がある。

 安倍総理は「武力戦争を目的としたイラク戦争や湾岸戦争、ああした戦闘には参加はしないという事は従前から申し上げている。それでも、参加するかのような理論が出されているのは残念だ」とも主張した。

 また、安倍総理は「我々が行った判断(閣議決定)は、十分に歴史の審判に耐えうると思う」とした。

 生活の党の村上史好議員の質問に答えた。村上議員は「地元に戻って、街頭演説をしたとき、戦争体験者が、あなたたち政治家はほとんどが戦後生まれだ。総理の話や委員会での議論を聴いていると戦争の悲惨さや残酷さを知らず、議論しているようで、非常に怖さを感じる。我々の世代はもちろん、将来、血を流すかもしれない若者からも、もっと意見を聞くべき。なぜそんなに急ぐのかと言われた」とし、急ぐ理由を明らかにするとともに、集団的自衛権の行使時のリスク(危険)とそれに伴う国民の覚悟について説明を求めた。村上議員は「はぐらかされた。残念だ」と語った。(編集担当:森高龍二)