幸福追求の権利等、覆させられていいのか 総理

2014年07月16日 09:30

社会民主党の吉田忠智党首は15日の参院予算委員会での集団的自衛権をめぐる集中審議で、「集団的自衛権の行使容認を閣議決定したことは平和主義を破壊するもの。断じて容認できない」と強く批判した。

 安倍晋三総理は「国民の生命、自由および幸福追求の権利が根底から覆させられてもかまわないというのであればいいが、構わないとは思わない」と反論した。

 この日、吉田党首は「憲法9条の下では集団的自衛権の行使はできないという解釈は長年にわたる国会での議論、国民的議論、司法の判断、学問的議論、それらを積み上げてきた解釈だ」と政府・与党の解釈変更をけん制。

 吉田党首は「今回の解釈変更は立憲主義を否定する暴挙だ」とも政府を追及した。この中で「麻生太郎副総理はナチスの手口を学ぶと言われたが、(これは)ナチスの手法に近いのではないか」と怒った。

 また「安倍総理も著書の中で、アメリカが攻撃されたときに我が国も血を流すと強調していた。昨日からの国会議論でも、行使する場合の新3要件では、歯止めがない」と指摘。「結局、米国の戦争に自衛隊が参加し、血を流すことになるのではないか。自衛官が海外で敵の兵士を殺傷するだけでなく、自衛官が戦死し帰郷することにもなり得る。自衛官の確保が今以上に困難になれば徴兵制の議論も出てくるでしょう。敵国からは標的とされ、国内の安全も失われる。その覚悟は」と質した。

 安倍総理は「我が国対する武力攻撃が発生したこと、または、我が国と密接な関係にある国への武力攻撃が発生し、それにより、我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由および幸福追求の権利が根底から覆させられる明白な危険があることという状況があって、自衛隊の諸君に職務を完遂して頂くことになる。国民の生命、自由および幸福追求の権利が根底から覆させられてもかまわないというのであればいいが、構わないとは思わない」と集団的自衛権の行使容認でかえって攻撃されるリスクが高まるのではとの質問に答えず、その枠をこえて、いきなり、国民の生命、自由および幸福追求の権利が根底から覆させられる明白な危険が発生したときの議論に飛躍した反論になった。(編集担当:森高龍二)