新日鐵住金<5401>は、6月の名古屋製鉄所の火災で、屋外で塗装を乾かしていたトヨタの新車にススがついた問題で4円安。しかしトヨタは名古屋製鉄所から高張力鋼板などの供給を受けている間柄なので、話し合いで「大人の解決」をすると思われる。日本フエルト<3512>は4~6月期の営業利益が約2倍と報じられ11円高。製紙メーカーの抄紙機用需要が伸びた。総合メディカル<4775>は3~5月期の売上高7.9%増、営業利益7.9%減と発表し125円安。小売業は新店効果に頼りすぎると増収減益になりがち。新規出店は販促費も人件費もかさむため。
来週21日は「海の日」の祝日で、それを前に豊田通商<8015>は近畿大学と覚書を交わし長崎県の五島列島でマグロの完全養殖を開始と伝わり28円高で年初来高値を更新した。海は魚もとれれば船も浮かぶ。バルチック海運指数が8日続落し、日本郵船<9101>は4円安、商船三井<9104>は3円安だったが川崎汽船<9107>は1円高。海運は業種別騰落率で下から2番目だった。
「割安通信」に新顔が仲間入り。イー・アクセスがウィルコムを吸収合併し7月1日に社名変更したヤフー<4689>系のワイモバイルが、大手の半額以下の月2980円からのスマホ定額サービスを開始と伝わった。ヤフーは6円安。すでに他社から月額2000円、1980円、1934円などのプランも登場しているので、安さよりは機種や通信のスペックで勝負することになりそうだ。
値下がり率1位は前日まで3日連続で値上がり率1位のダイジェット工業<6138>で49円安。値下がり率ランキングには水素関連、電線関連、芦森工業<3526>、エムアップ<3661>など今週、値上がり率ランキングに入っていた銘柄がズラリと並ぶ。マーケットは持ち上げるのも落とすのも派手。日経ジャスダック平均は0.19%下落、東証マザーズ指数は0.82%下落と、新興市場も「惜敗」していた。
この日の主役は「低位の中小建設株」。火をつけたのが日経新聞に掲載されたJR東日本<9020>と東京都が共同で進める品川駅周辺再開発の記事で、5000億円を投じ、完成すれば品川・田町間の新駅の西側に超高層ビル8棟が並び建つという。
それを材料に一斉に買われ、鉄道土木の鉄建<1815>はストップ高の80円高で年初来高値を更新し売買高、売買代金、値上がり率とも1位の「3冠王」。値上がり率3位は27円高の宮地エンジニアリングG<3431>、5位は33円高で年初来高値更新のナカノフドー建設<1827>、6位は一時ストップ高の46円高で年初来高値を更新し売買高17位の東急建設<1720>、7位は37円高で年初来高値を更新し売買高2位、売買代金4位の大豊建設<1822>、11位は淺沼組<1852>、14位は売買高5位、売買代金9位の熊谷組<1861>が入った。三井住友建設<1821>は1円高で売買高7位に入り、羽田新線構想でも買われた東鉄工業<1835>は55円高で年初来高値更新。佐田建設<1826>は2円高、大和小田急建設<1834>は4~6月期の単独決算が前年同期の最終赤字から最終黒字に転換する見通しで7円高だった。
業種別騰落率第2位の建設セクター以外にも、日本冶金工業<5480>が売買高14位、値上がり率4位、東京都競馬<9672>が同15位、さらにケイヒン<9312>、東洋埠頭<9351>と、昨年9月の東京五輪開催決定直後に急騰した「火を吹く湾岸銘柄」が値上がり率ランキングにカムバックした。東京ベイエリアの含み資産目当てではいささか頼りないが、奇妙な「電線音頭」がしつこく流れるよりはずっと健康的だろう。(編集担当:寺尾淳)