10日のNYダウは70ドル安。NASDAQ総合指数は22ポイント下落。震源地はポルトガルの大手銀行バンコ・エスピリト・サントの経営不安による株価暴落で、ポルトガルの国債価格が急落してギリシャの国債入札も不調に終わり「欧州債務危機再来か?」とヨーロッパの株価は軒並み安。それがNY市場に飛び火し一時180ドル安まで下げた。世界のどこから矢が飛んでくるかわからない。ポルトガルのGDPはアメリカの1.3%しかないが、昨年はもっと小さいキプロスにさんざん振り回された。11日朝方の為替レートは、ドル円が101円台前半、ユーロ円が137円台後半で、円高がさらに進行していた。
CME先物清算値は15115円。「マイナーSQ」の日の日経平均は113.88円安の15102.59円で始まった。推定SQ値は15084.06円と低かったが、6月のメジャーSQ値14807円は上回る。9時18分に15101円まで下落するが15100円は割り込まず、その後はどんどん値を切り上げ10時8分に15204円まで上昇した。上海、香港市場がプラスで始まっても反応薄で10時台、11時台はおおむね15160~15190円のレンジで動き、そのまま前場終了。前引けは15176円だった。
2012年11月にアベノミクス相場が始まって以来、日経平均は4日続落はあっても5日続落はなく「アノマリー破り」になるのかと注目された後場は40円安前後の水準で始まる。「日経平均寄与度御三家」の値動き次第では終値プラスでアノマリー死守も望めたが、その御三家はソフトバンク<9984>はマイナスに落ちてファナック<6954>もさえず、ファーストリテイリング<9983>は下げ幅拡大と全く逆方向に動く。為替も少し円高に振れ、午後1時すぎには15120円も割り込みマイナス幅は100円を超える。だがそこで下げ止まり、1時台のうちに15150円にタッチ。2時台はソフトバンクがプラスに戻る時間帯があり「最後まであきらめない」かのように段階的に下げ幅を圧縮し15180円にタッチするが、上昇もそこまで。
終値は52.43円安の15164.04円でアベノミクス相場初の5日続落。前週末4日の終値から273.09円下落して今週の取引を終えた。日中値幅は103円。今週は「黒くぬれ」と全敗だったが、この日は6月のメジャーSQ同様、値動きがSQ値を一度も下回らない上昇パターンの「まぼろしのSQ」が出現したのが不幸中の幸い。今後、SQ値15084円は下落した際にサポートラインとして意識されそうだ。TOPIXは-4.06の1255.19。売買高は21億株、売買代金は1兆8489億円で、SQでも2兆円を超えられなかった。
東証1部の値上がり銘柄は550、値下がり銘柄は全体の62%を占める1140。33業種別騰落率はプラス11業種、マイナス22業種。上昇業種の上位は鉱業、空運、倉庫、パルプ・紙、医薬品、陸運など。下落業種の下位はその他金融、電気・ガス、海運、証券、保険、鉄鋼などだった。
日経平均225種は値上がり72銘柄、値下がり143銘柄。プラス寄与度1位はキヤノン<7751>で+4円、2位は日本ハム<2282>で+3円。マイナス寄与度1位はファーストリテイリングの-25円、2位はファナックの-12円で、この2銘柄で下落幅の7割以上を占めていた。
メガバンクはみずほ<8411>値動きなし、三菱UFJ<8306>6円安、三井住友FG<8316>34円安。個人マネーが流入し6月末の投資信託残高が83兆円で過去最高と報じられたが証券セクターの株価の持ち直しには寄与せず、野村HD<8604>は8円安で4日続落した。トヨタ<7203>はBMWとスポーツタイプの車台を共通化し往年の名車「スープラ」を復活させるニュースがあったが22円安、ホンダ<7267>は「フィット」のリコールに加えて野村證券がレーティングを引き下げ58円安。マツダ<7261>は4円安。電機も日立<6501>11円安、東芝<6502>5円安、シャープ<6753>5円安など全面安だった。
中国製テレビをヨーロッパで販売する宮越HD<6620>(元・クラウン)はストップ高の80円高で年初来高値を更新し値上がり率2位。中国子会社が所有する固定資産の一部譲渡と約40億円の譲渡益、特別利益の発生を発表した。今期最終利益の上方修正が期待される。船舶用電子機器の古野電気<6814>は3~5月期の営業損益が前年同期の赤字から12.23億円の黒字に転換。営業利益見通しを3~8月中間期は13億円から18億円に、通期は23億円から25億円に上方修正し、48円高で値上がり率10位に入った。