日本の居ぬ間に 中国市場で攻勢に出るドイツ製造業

2014年07月21日 12:50

画像・日本の居ぬ間に 中国市場で攻勢に出るドイツ製造業

昨年12月に発足した第3次メルケル政権は連立協定に「対日友好はドイツ外交の支柱」と明記。メルケル首相は今年4月、ベルリンを訪れた安倍晋三首相に来年の訪日を約束した。しかし、実現したとしても08年の洞爺湖サミット以来で実に7年ぶりだ。

 「鬼の居ぬ間に洗濯」という故事があるが、日中関係が悪化している間にドイツと中国は急速に距離を縮めている。ドイツのメルケル首相は6日、成都に到着し、中国訪問を開始した。メルケル首相の訪中は2012年8月以来で、05年の就任後7回目。中国からは昨年5月に李首相、今年3月には習主席の訪独を受け入れている。

 昨年12月に発足した第3次メルケル政権は連立協定に「対日友好はドイツ外交の支柱」と明記。メルケル首相は今年4月、ベルリンを訪れた安倍晋三首相に来年の訪日を約束した。しかし、実現したとしても08年の洞爺湖サミット(主要国首脳会議)以来で実に7年ぶり。安倍首相の訪独も、日本の首相としては5年ぶりだった。ドイツの中国重視の姿勢は明らかだ。

 メルケル首相の訪中には、ドイツ銀行やシーメンス、ルフトハンザ・ドイツ航空、エアバスなど大手企業の幹部も同行。エアバスが100機のヘリコプターを販売する契約を結ぶなど、李克強首相との首脳会談を通じて多数の経済協力や大型商談をまとめた。さらに、メルケル首相の訪中にあわせドイツの自動車大手、フォルクスワーゲン(VW)は中国の天津市と山東省青島に工場を新設すると発表した。天津はトヨタ自動車が生産拠点を置き、日本車が強い地域だ。VWは昨年9月にも日本車のシェアが高い広東省で新工場を稼働させており、中国全土で日本勢の牙城を崩しにかかる。一方の山東省は人口が多く、新車市場の成長余地も大きい。

 ドイツの攻勢は製造業だけにとどまらない。金融面でもドイツの金融機関に人民元を使った株式や債券への直接投資を認める「人民元適格外国人機関投資家(RQFII)」の資格を付与することで合意。800億元(約1兆3000億円)の投資枠を設けた。

 日本と中国は政治および外交面でかつてない緊張状態にあるのは間違いない。しかし、中国は経済的に重要な日本との関係を、これ以上「冷却化」「緊迫化」させて経済成長の足を引っ張ることは、望んでいないと見る専門家もいる。しかし、ドイツと中国の蜜月ぶりを目の当たりにすると、楽観視してばかりはいられないのでは、と筆者は感じる。(編集担当:久保田雄城)