政府は沖ノ鳥島北方の四国海盆海域など2つの海域で大陸棚の延長に向けた政令の制定に着手することを決定した。安倍首相が発言している通り「我が国は、四方を海に囲まれた海洋国家」であり、「広い海からもたらされる資源は、日本の未来を切り拓く」ことは間違いないだろう。
資源に乏しい国―長年そのように言われてきた日本が実は資源大国であったことが明らかになりつつある。その資源が存在している場所、それは日本を囲む海の底だ。
近年、日本の経済的な主権が及ぶ水域である排他的経済水域(EEZ)で重要な海底資源の発見が相次いでいる。沖縄県の久米島沖ではレアメタルが存在する可能性のある地域が発見され、日本最東端の南鳥島沖でも国内消費量の少なくとも約230年分という大量のレアアースを含む泥がみつかっている。発光ダイオードなどに使われるレアメタルやその一部で携帯電話や蓄電池などに利用されるレアアースは現代社会に必要不可欠な資源だ。これらを確保できれば、これまで資源に乏しいと言われた日本が「資源国」の地位に躍り出ることが可能となる。これらの資源は深海にあることがほとんどであるため、現状採掘コストが高く商業化には至っていないものの、中国や韓国も海洋資源確保を狙う状況の中でまず重要なのは資源が取れる可能性のある海域を確保することだ。
海洋資源開発を主体的に進めるため、安倍首相は今月4日の総合海洋政策本部の会合において、沖ノ鳥島北方の四国海盆海域など2つの海域で大陸棚の延長に向けた政令の制定に着手することを決定した。国連海洋条約では領土と続くと国連大陸棚限界委員会に承認された大陸棚の開発が認められており、今回の決定は2012年7月に出された同委員会の承認に基づいたものだ。同海域について日本政府は08年に申請を行い、日本の大陸棚としては初めて延長が認められた。
この方針が決定された会合で安倍首相は、「我が国は、四方を海に囲まれた海洋国家」であり、「広い海からもたらされる資源は、日本の未来を切り拓く」と発言している。今回の大陸棚延長に向けた政令の制定は「日本の未来を切り拓く」重要な第一歩だ。政府は中国や韓国の異議により委員会からの勧告が滞っている沖ノ鳥島南方の海域についても委員会への働きかけを強めていく方針だ。
近年日本では近隣諸国との領土問題が相次いでいる。そのような中で、国連中心主義でこれまでも歩んできた日本は、正規のプロセスにのっとり行ってきた主張が認められたことに自信を持ち、さらなる延長についても委員会に働きかけを続け、堂々と海洋資源開発を進めていくべきだろう。「海洋国家日本」の
本領発揮の日は近い。(編集担当:久保田雄城)