若手会社員たちにとって、将来の見通しはそれほど明るくない。グローバル経済下で新興国との競争はますます激しくなり、内需は先細り、数十年後には「消えている仕事」もあるだろう。年金の受給開始年齢はどんどん引き上げられ、65歳を超えても働くのが当たり前になる。『ワーク・シフト』(プレジデント社)がベストセラーとなったリンダ・グラットン氏は先日、日経新聞のフォーラムで来日し、将来的には「人生のうち70~80年も働くことになる」と述べた。
ただ、「定年(65歳)」まで働くことをしっかりイメージできている若者は、それほど多くない。エンジニアの派遣事業を手がけるVSNが、全国の若手会社員に調査したところ、彼らは全体的に慎重で、長期的なキャリアプランはあまり描けていないことが明らかになった。
調査は今年7月、全国の20~30代の会社員600名(男女各300名)を対象に実施。働くことへの意識などを尋ねた。方法はインターネット調査。
「定年(65歳)まで働き続けることのイメージはできているか」と尋ねたところ、「しっかりとイメージができている」との回答はわずか10.8%。「ある程度イメージできている」(28.7%)を合わせても4割に満たなかった。今の若手社員にとって、「定年」まで働き続けることを具体的にイメージするのはかなり難しいのだろう。
また、仕事への姿勢は「攻撃的」「保守的」のどちらかを聞いてみたところ、「保守的」との回答が7割を占めた。性別・年齢別で大きな差はなく、若手会社員は全体的に慎重な姿勢で仕事に取り組んでいるようだ。そんな彼らに「どれぐらい出世を望んでいるか」尋ねたところ、「とても望んでいる」は17.5%、「どちらかといえば望んでいる」が41.3%で、6割の若手は「出世したい」と考えているようだ。男性は30代より20代の方が、出世に意欲的な回答が多かった。若い世代の方が、将来の可能性に対して「希望」を持ちやすいのかもしれない。(編集担当:北条かや)