「人並みに働けば十分」新入社員の意識、バブル期と同水準に

2014年07月11日 07:05

今年の新入社員は「人並みに働き、状況によっては転職も考える」傾向にあるようだ。「人並みで十分派」の割合はバブル期の水準まで増加し、今年の就職活動が売り手市場だったことを伺わせる。

 調査は日本生産性本部が、1969年から毎年1回、春の新入社員の入社時期に実施している。今年は3月10日から4月25日にかけて、新入社員2203人を対象に行われた。

 新入社員の意識は、景気に大きく左右される。特に「人並み以上に働きたいか、それとも人並みで十分か」という問いについては、景気が良いほど「人並みで十分」が増え、景気悪化で就職活動が厳しいと「人並み以上に頑張りたい」が増える。売り手市場だった今年は「人並みで十分」が昨年よりさらに増え(昨年49.1→52.5%)、「人並み以上に働きたい」(昨年42.7→40.1%)を大きく上回った。「人並みで十分派」の割合は、過去最高だったバブル末期と同水準。当時のような「売り手市場」意識が戻り、会社に大きく貢献したいというより「ほどほどに頑張りたい」新人が多いようだ。

 また「この会社で定年まで働きたい」は28.8%で、「状況次第でかわる」(34.5%)を2年連続して下回った。景気が少し回復したこともあり、「場合によっては転職もありえる」新入社員が増えている。「この会社で定年まで働きたい(終身雇用志向)」は2000年頃から一貫して増え、「状況次第でかわる(転職あり志向)」は大きく減少を続けてきた。こうした傾向を「若者の保守化」と捉える向きもあったが、ここ2年はこの流れが逆転。「終身雇用志向」は一昨年度の34.3%→昨年度30.8%→今年度28.8%まで減少している。この変化の要因を、アベノミクスによる景気回復だけに求めるのは無理があるだろう。2000年代半ばの「いざなぎ景気超え」の時期にも、「終身雇用志向」は増え続けていたからだ。グローバル化や業績主義の浸透により、若者たちの間では「会社に頼ってばかりではいられない」との意識が広まっているのかもしれない。(編集担当:北条かや)