会社員のメリットは「収入の安定のみ」 年金や福利厚生への期待感は1割未満

2014年07月12日 13:41

 20、30代の女性を対象に行った職業観に関するアンケート調査によると、正社員であることのメリットは「収入の安定」との回答が半数を占めていた。これに対し、「長く勤められる」「年金」「福利厚生」といったメリットを挙げる人は1割未満となるなど、一昔前までは会社員にとって当たり前であった終身雇用や会社の福利厚生は、過去の産物として忘れ去られつつある現状が明らかになった。映画生活提案サイトトーキョー女子映画部が行った調査結果でわかった。

 調査は映画『ジャッジ!』のDVD・ブルーレイリリースにちなんで、映画のテーマ【職業観】について20代、30代を中心とする222名によるアンケートと座談会を行ったもの。

 「今の時代、会社員であること、会社員になることは良いことだと思うか」との質問には、就業経験ありの人で60.8%、就業経験なしで45.5%が「就業形態を問わずに良いこと」と回答していた。また「正社員ならいいが契約社員などだと良いとはいえない」という、“絶対正社員派”は、就業経験ありで32.8%、なしで39.4%を占めており、就業経験がない人ほど、正社員に対するこだわりが強い傾向がうかがえる。

 一方で、会社員(正社員)であることのメリットについては、就業経験の有無を問わず半数以上の人が「収入の安定」を挙げており、他の回答を大きく引き離して第1位となっていた。「長く勤められる」「年金制度・保険」「年金や保険以外の福利厚生」をメリットとして挙げる回答は1割以下に留まり、福利厚生や終身雇用といったメリットを受けられない、今時の会社員の世相を現した回答内容となっているようだ。

 また就業経験なしの層では、「とりあえず仕事がある」ことがメリットとする切実な回答も24.2%と4分の1を占めていた。
 
 会社員に限らず、仕事を選ぶ際の優先順位については、「やりがいや興味」が第1位で36.5%となり、第2位「安定した収入」23.0%を大きく上回るなど、就職戦線の厳しい中でもやりたいことは譲れないという、20、30代の職業観が浮き彫りになった。

 今の日本企業で未来を感じる分野(自由記述)では、第1位がIT系(コンピューター含む)で18人、第2位が医療系16人、第3位が介護系(高齢者向けサービス全般)11人、同じく理系、工学系(ロボット産業、宇宙工学含む)11人、第4位が農業8人の順となっていた。

 会社に対する期待は収入の安定のみ、それならばせめてやりがいくらいは求めたい――調査結果からはこんな女性たちの声が聞こえてくるようだ。とはいえ年金制度や健康保険などは、パート・アルバイトでは得がたい福利厚生の代表だ。また出産、育児支援など女性ならではのライフイベントに応じた会社の制度の有無など、実際の職業選択の際にはやりがい以外の様々な要因が絡んでくるのも、また事実ではあるのだが。(編集担当:横井楓)