【日経平均】SQ週の火曜日でも2時から荒れて154円安

2014年08月05日 20:12

 不動テトラ<1813>は4~6月期の営業利益が前年同期比5倍近くの約7億円という業績観測が出て中間期見通しを早くも第1四半期で上回り、売買高6位に入って11円高で値上がり率11位。主力の地盤改良工事では採算の良い工事を選べるので利益率が高まっているという。太平洋セメント<5233>は4~6月期決算の営業利益が約2割増の110億円前後という業績観測報道があり、市場予測を上回って1円高。海外でのセメント販売が好調。国内比率が高い住友大阪セメント<5232>のほうは営業利益の業績観測が微減の35億円で市場予測を下回り、19円安で年初来安値更新と明暗が分かれた。

 ジェネリック医薬品の沢井製薬<4555>はみずほ証券が目標株価を引き下げ10円安。しかしこの日は塩野義製薬<4507>26円高、アステラス製薬<4503>4円高など医薬品セクターが踏ん張って唯一のプラスセクターになった。メッキ薬品のJCU<4975>は通期の営業利益見通しを6億円上方修正し、中間配当と期末配当の予想をそれぞれ5円増配。530円高で年初来高値を更新し値上がり率4位に入っていた。

 三菱商事<8058>系の業務用食肉加工大手の米久<2290>はストップ高の150円高で年初来高値を更新し値上がり率1位。前日に3~8月中間期の営業利益見通しを3.5億円、2月期通期の営業利益見通しを11億円、それぞれ上方修正し、前年同期比で中間期13.5倍、通期60.9%の大幅増益見込みになった。日本ハム<2282>はみずほ証券がレーティング、目標株価を引き下げ110円安。カルビー<2229>は4~6月期決算の営業利益が28.4%増で市場予測を上回り210円高で年初来高値を更新し値上がり率8位。大和証券が目標株価を引き上げていた。

セコム<9735>の4~6月期の経常利益は約1割増の360億円前後で3年連続過去最高益更新という業績観測が出て8円高。日本生産性本部が、昨年の余暇消費は11年ぶりの活況でテーマパークの市場規模は1割増という内容の今年版の「レジャー白書」を公表したが、テーマパークの代表格オリエンタルランド<4661>は110円安だった。

 ゲーム・コンテンツ関連は、Klab<3656>は売買代金4位でも251円安で値下がり率4位、マーベラス<7844>は売買高14位、売買代金2位でも199円安で値下がり率5位、エイチーム<3662>は670円安で同9位、コロプラ<3668>は「白猫プロジェクト」が200万ダウンロードを突破して売買代金9位でも320円安で値下がり率15位とふるわなかった。しかしハピネット<7552>は50円高で年初来高値を更新して売買代金11位に入り、「妖怪ウオッチ」おそるべし。コナミ<9766>は昼休みに4~6月期決算を発表。パチスロ機「麻雀格闘倶楽部」がヒットして営業利益2.1倍の「倍満」をツモって17円高。通期見通しは据え置き。

 楽天<4755>は前日に1~6月期決算を発表し、売上収益は15%増で過去最高だったが営業利益は6%減、連結純利益は10%減。楽天市場、楽天銀行、楽天カードは好調でも楽天証券の株式売買代金が49%でほぼ半減し証券事業が大幅減益だったのが響いた。通期見通しは非開示。それでも野村證券やJPモルガンがレーティングを維持して味方し41円高と4日ぶりに反発していた。

 新興市場も軟調で、日経ジャスダック平均は0.99%下落どまりでも東証マザーズ指数は4.37%の大幅下落。最大の要因は売買が連日、東証1部のトップクラスに匹敵するほど活発なミクシィ<2121>とサイバーダイン<7779>に対して東証がこの日から信用取引規制を強化したことで、ミクシィはストップ安の1000円安、サイバーダインは一時ストップ安の505円安と売り込まれた。

 この日の主役は後場に4~6月期決算を発表した大手ゼネコン3銘柄。大林組<1802>は1時30分に発表し営業利益3.1倍、経常利益44.6%増。関連会社の大林道路<1896>は前日に営業利益2.1倍の決算と150万株上限の自社株買い実施を発表し23円高だった。鹿島<1812>も1時30分に発表し営業利益2.4倍、経常利益は58.9%増で、ここまではよかった。ところが2時発表の大成建設<1801>は土木事業で利益率が悪化し為替差損も出たといい営業利益56.3%減、経常利益69.1%減の減益決算。最後にネガティブサプライズが待っていた。大林組と鹿島は発表直後に上昇し年初来高値を更新していたが、売買高9位、売買代金12位でも35円安の大成建設に引きずられる形で大林組は5円安、鹿島は1円安で終えた。

 建設業界は「建設資材の高騰と技能工の不足による人件費の高騰」が業績のウィークポイントと言われてきたが、受注側が採算の良い工事を選べる状況があり、それならコスト高騰を工事代金に転嫁できるので大林組と鹿島に限って言えば利益面は改善の方向に進んでいる。裏返せば公共工事の発注側では入札不調や工事の延期が頻発して大きな問題になっている。北陸新幹線の工事では、受注側が手持ち工事を分けあうために談合するのではなく、発注側が入札不調を避けるために官製談合をお膳立てする事件まで起きている。(編集担当:寺尾淳)