前週末1日のNYダウは69ドル安で4日続落。NASDAQ総合指数は17ポイント下落した。7月の雇用統計の失業率は6.2%で6月から0.1ポイント悪化。非農業部門雇用者数の伸びは20.9万人で6月の29.8万人から減速し市場予測の21~22万人も下回った。ネガティブな数字だが「FRBの利上げ時期が遅くなる」という見方で、「アルゼンチン、ポルトガル」の経済リスクセット、「ウクライナ、パレスチナ」の地政学的リスクセットに脅かされる株価の下支えになっていた。金融はゴールドマンサックスが1.5%、JPモルガンチェースが2.1%下落など不振。P&Gは決算内容が良く3.0%上昇。TモバイルUSは6.5%の大幅上昇、スプリントは5.5%の大幅下落で、フランスのイリアド社はソフトバンク<9984>にとって「最強の敵」と評価されていた。4日朝方の為替レートはドル円が102円台後半、ユーロ円が137円台後半で、ドル円がやや円高に振れていた。
1日のCME先物清算値は15415円。日経平均は48.46円安の15474.65円で始まる。TOPIXもマイナス。ドル円が依然102円台なので、前週がそうだったように売り物を消化した後でプラスまで反発するかと思えば戻りはにぶい。それでも午前10時20分すぎに15500円台を回復し、10時30分を回ると上海、香港市場が反発スタートだったこともあり日経平均はようやくプラスに浮上。すぐにマイナスに戻っても何度もプラスにタッチする1日の終値付近の底堅い値動きがずっと続く。しかしTOPIXはプラスに浮上できなかった。前引けは日経平均は15528円でプラスでも、TOPIXは前場終始マイナスだった。
後場はマイナスで再開。午後0時台に15500円を一時割り込み、その後も15500円をはさんだ値動きが続く。1時30分頃から少し上昇し15510円前後でもみあうがプラスに浮上できない。終盤の2時45分頃からはズルズルと15480円近辺まで下落し、終値は48.61円安の15474.50円で3日続落した。日中値幅は95円。TOPIXは-5.11の1276.19。売買高19億株、売買代金1兆8744億円で、2兆円超えは前週末の2日間で終わった。
東証1部の値上がり銘柄数は659、値下がり銘柄数は1005で全体の55%を占めた。33業種別騰落率は10業種が上昇、23業種が下落。プラスセクター上位は鉱業、水産・農林、繊維、食料品、医薬品、卸売など。マイナスセクター下位は不動産、銀行、証券、海運、情報・通信、鉄鋼などだった。
日経平均採用225種は値上がり81銘柄、値下がり131銘柄。プラス寄与度1位はアステラス製薬<4503>で+7円、2位はダイキン工業<6367>で+5円。マイナス寄与度1位はソフトバンク<9984>の-32円で、この日は終始、日経平均の足を引っ張り続けた。2位はホンダ<7267>で-4円だった。
メガバンクは、みずほ<8411>2.7円安、三菱UFJ<8306>12.9円安、三井住友FG<8316>54.5円安。りそなHD<8308>は7月末で約3兆円の公的資金をほぼ完済し実質国有化終了と報じられ3.8円高だった。野村HD<8604>は8.4円安。この日は不動産、銀行、証券という金利敏感3セクターが業種別騰落率のワースト3だった。
トヨタ<7203>はアメリカの7月の新車販売台数でフォードを抜き2位に浮上したが46円安。ホンダは55円安、マツダ<7261>は22円安。しかし富士重工<7270>は売買代金15位に入り46.5円高と独歩高。今や世界最大の電気自動車(EV)メーカーの日産<7201>は、三菱自動車<7211>と共同で新型EVを生産すると報じられた。軽ベースで〃電費〃は300円で200キロ走りJR運賃の10分の1以下。補助金込み100万円台半ばの価格で2016年をメドに発売するという。このごろFCV(燃料電池車)ばかり注目される中でのEVの逆襲だが、日産は売買代金13位に入りながら11.5円安、三菱自動車は6円安だった。スズキ<7269>は4~6月期決算で売上高5%増、営業利益15%増、純利益39%増で過去最高益を更新したが63.5円安。国内は「ハスラー」を中心に伸び、インドも販売好調で四輪車世界販売台数は9%増の69.1万台だった。
日立<6501>と東芝<6502>に東ヨーロッパの原発にからむニュースがあった。日立はリトアニアの原発建設について協議再開と報じられ2.7円高。東芝は子会社のウェスチングハウスがブルガリアの原発を1基受注したと報じられたが値動きなし。ソニー<6758>は売買代金10位と買われ11円高。シャープ<6753>の4~6月期の売上高は2%増、営業利益は55%増だが最終損益は17億円の赤字。赤字幅は縮小したが9円安。売買高3位、売買代金14位だった。最終損益が300億円の黒字の通期見通しは据え置いた。
クラリオン<6796>は売買高7位に入り25円高。ローム<6963>の4~6月期決算の営業利益は約5倍の92億円で市場予測の79億円を上回り、後場一段高の390円高で年初来高値を更新し値上がり率17位。スマホ、タブレット端末向け、自動車向けLSIが好調で進捗率は36%に達したが通期見通しは据え置き。イビデン<4062>はスマホ、タブレット端末向け基板の受注が好調で、4~6月期決算の営業利益2.4%増で市場予測を上回り12円高で年初来高値を更新した。
画像検査装置と3Dソフトのクボテック<7709>は4~6月期の売上高は22.6%減だったが、経常損益は前年同期の赤字から4.21億円の黒字に転化し23円高で値上がり率9位。構内放送設備とセキュリティシステムのTOA<6809>は4~6月期で営業損益、最終損益が赤字に転落し121円安で値下がり率2位。半導体関連のフジミインコーポレーテッド<5384>は4~6月期の経常利益が76.8%増の8.7億円に拡大。4~9月中間期と通期の経常利益見通しを上方修正し、株価は111円高で年初来高値を更新し値上がり率11位に入った。テルモ<4543>は2日の日経朝刊に業績観測記事が載り、アメリカ市場でカテーテル販売が伸び4~6月期の営業利益が20%増の160億円程度という予想を好感され68円高だった。