【日経平均】ドル円102円台の円安を味方に28円小幅高

2014年07月30日 20:11

 29日のNYダウは70ドル安。NASDAQは2.21ポイント下落。S&Pケース・シラー住宅価格指数が市場予測を下回ったが、CB消費者信頼感指数は6年9ヵ月ぶりの高水準。メルクやファイザーの好決算も手伝って高く始まる。しかしEUに続きオバマ大統領がエネルギー、金融、防衛産業の分野でのロシア制裁を発表するとマイナス圏に急落した。メルクは1.1%上昇。ファイザーは1.2%下落。通信はAT&Tが2.6%上昇、ベライゾンが0.8%上昇と買われたが、マイクロソフトは0.2%下落。中国政府が独占禁止法違反で中国法人を調査すると発表したためで、食べ物がらみの批判はITで意趣返しか? 30日朝方の為替レートはドル円102円台前半、ユーロ円137円近辺で円安が進行した。

 CME先物清算値は15600円。取引時間前に6月の鉱工業生産指数速報値が発表され、5月の+0.7%から一転、-3.3%に悪化。完全失業率も悪化しており「6月は景気減速」と判断されてもおかしくない。6月の景気動向指数速報値は8月6日に発表される。

 日経平均は1.18円安の15616.89円でTOPIXとともに小幅反落でスタートするが、そこから先物主導でグングン上昇し午前9時9分の15666円で折り返す。その数字の縁起が悪いのか9時30分頃から急落してマイナスに落ち9時41分から一時15600円割れ。その後プラスに戻っても勢いは弱く前日終値近辺にとどまり、TOPIXはずっとマイナス。しかし上海と香港がともに7日続伸で始まるとTOPIXはプラスに浮上して日経平均も値を切り上げ、11時台には15600円を超えてこの日の高値圏に。前引けは15660円で、TOPIXはこの日の高値で前場を終えた。

 後場は少し下げて始まるが、最近では頻繁に出現する「後場小動き」。午後0時台、1時台は15640~15660円のレンジ、2時台は少し下げて15630~15650円のレンジで小動きを延々と繰り返して大引けまで続いた。終値は28.16円高の15646.23円で4日続伸。日中値幅は72円だった。TOPIXは+1.83の1292.24。売買高は19億株、売買代金は1兆8179億円で、前日よりも商いが増えていた。

 値上がり銘柄は701、値下がり銘柄は948で全体の52%を占め、決算を発表した主力銘柄を中心に買われたものの値下がりした銘柄のほうが数が多い。業種別騰落率も上昇14業種、下落19業種で値下がり優勢。プラスセクターの上位はその他金融、精密機器、非鉄金属、鉄鋼、輸送用機器、食料品など。マイナスセクターの下位は空運、鉱業、建設、不動産、石油・石炭、陸運などだった。

 日経平均採用225種は値上がり103銘柄、値下がり108銘柄とほぼ拮抗。プラス寄与度1位はホンダ<7267>で+8円、2位は花王<4452>で+5円。マイナス寄与度1位はファナック<6954>、2位は日揮<1963>でともに-3円だった。

 日経新聞にメガバンクの4~6月期決算の業績観測記事が出て、最終利益はみずほ<8411>が4割減の1000億円台半ば、三菱UFJ<8306>が1割減の2300億円程度、三井住友FG<8316>が2~3割減の2000億円超。最終利益の合計は6000億円程度で前年同期比で2~3割減少するという。みずほは1.1円安、三菱UFJは5.2円高、三井住友FGは27円高だった。新生銀行<8303>は4~6月期決算の純利益56.4%増を好感されて17円高で値上がり率6位、売買高4位。野村HD<8604>の4~6月期決算は純利益70%減の198億円。前年同期は「黒田異次元緩和」後に株式市場が異様に盛り上がったので反動減が大きい事情もあるが9.1円安。〃業界慣習〃で通期見通しは非公表。

 電機大手のパナソニック<6752>は年功序列賃金制度を廃止し人事・賃金制度を10年ぶりに見直すと報じられ10円高。先に制度見直しを発表したソニー<6758>は7円高。しかし日立<6501>は1.4円安で7日ぶりに反落し、東芝<6502>は1円安、NEC<6701>は5円安、シャープ<6753>は3円安とふるわなかった。メカトロ機器が好調な三菱電機<6503>は4~9月期中間期の営業利益見通しを170億円上方修正し1000億円、通期見通しを100億円上方修正し2600億円とした。乱高下したが終値は46.5円高で年初来高値を更新し、ハッピーエンド。

 決算発表前日のセイコーエプソン<6724>は255円高で年初来高値を更新し値上がり率13位。オムロン<6645>は4~9月中間期の営業利益見通しを80億円上方修正し、バークレイズが目標株価を引き上げ215円高。日立国際電気<6756>は4~6月期の受注高が1~3月期の45%減で中間期の計画も50億円下方修正したのを嫌気されて75円安。クラリオン<6796>は、前年同期は4億円余りの赤字だった4~6月期の営業損益が10億円余りの黒字に転換し、市場予測を上回り23円高で年初来高値を更新し値上がり率14位。売買高2位、売買代金3位と買われていた。ダイキン工業<6367>は15円高で年初来高値を更新。東京エレクトロン<8035>は中間期見通しを上方修正しても市場予測に足りなかったが、野村證券が目標株価を引き上げて103円高と上昇した。

 北海道電力<9509>は電気料金の再値上げを申請し9円高。川内原発と同じ加圧水型タイプだが泊原発の早期再稼働の見込みは薄く、火力発電の燃料費の負担は重い。道路舗装のNIPPO<1881>は4~6月期の営業利益が約3倍で四半期では過去最高という業績観測が出て5円高で年初来高値を更新した。

 川崎重工<7012>は後場に4~6月期決算を発表し中間期、通期の業績見通しを上方修正。乱高下したが売買高9位で6円高。通期の純利益を15億円上積みしている。コマツ<6301>の4~6月期の売上高は1%増の4602億円、営業利益は21%増の634億円、純利益は1%増の376億円だった。2ケタ営業増益を評価され年初来高値を更新し終値1円高。ヨーロッパが31%、中南米が4%伸びたが中国は15%減。国内はほぼ前年並みだった。日立建機<6305>は4~6月期の営業利益は21%増だったが、中間期を90億円、通期を200億円それぞれ下方修正したため69円安と売られた。シマノ<7309>は12月期の期末配当予想を前期と同じ43.5円から52.5円に上方修正し、450円高で年初来高値を更新した。