週明け4日のNYダウは75ドル高で5営業日ぶりに反発。NASDAQは31ポイント上昇した。ポルトガル中央銀行が49億ユーロの資金を注入して大手銀行BESの救済に乗り出すと発表しリスク低下。4日間で500ドル近く下落したので押し目買いが入り尻上がりに上昇して終えた。1日に発表されたISM製造業景況感指数は57.1でかなり良い数字で市場予測を上回り、雇用統計も悪い印象があるが非農業部門雇用者数の増加は6ヵ月連続20万人台をキープして、見直し買いが入る基礎的条件は十分。決算内容が良かったウォーレン・バフェット氏率いるバークシャー・ハサウェイは2.6%、多発性骨髄腫治療薬が臨床試験で良好な結果が出たアムジェンは2.5%それぞれ上昇。5日朝方の為替レートはドル円が102円台半ば、ユーロ円が137円台後半で、ドル円がやや円高に振れていた。
CME先物清算値は15510円。日経平均は32.37円高の15506.87円で始まる。TOPIXもプラスでスタート。しかし日経平均はあっけなく15500円を割り込み、午前9時30分頃からTOPIXとともにマイナス圏に沈んで9時41分に15452円まで下落する。10時前後にはプラス圏の15490円付近まで戻す時間帯があったが、前日終値付近でもみあった後、10時20分すぎから再び下落し、10時50分に前日終値時点の25日移動平均15380円の手前の15413円でようやく止まった。中国の7月のHSBCサービス業PMIが50.0で6月の53.1から大きく悪化。上海市場だけでなく香港市場もマイナスに転じて豪ドルが売られ、市場心理を冷やす。それでも11時台は15450円付近まで戻し、前引けは15436円だった。
後場はほぼ前引け水準で再開。午後1時台まではマイナス圏ながら15400~15450円のプラス浮上をうかがえる範囲で小動きし、いつもの午後のように平穏に過ぎていた。それが、先物主導で為替の円高を伴う「ゲリラ急落」に襲われたのが2時を回ってから。あれよあれよと言う間に防衛線と思われた25日移動平均15380円を突破され、2時31分の15313円まで100円を超える下落を喫した。終盤は25日線にもオプション取引の刻みの15375円にも戻りきれず、154.19円の3ケタ安、終値15320.31円で4日続落した。日中値幅は後場の急落で拡大して194円。TOPIXは-12.66の1263.53。売買高は22億株、売買代金は1兆9894億円で「下がった時ほど商いが多くなる」という最近の傾向通りだった。
値上がり銘柄は325、値下がり銘柄は1381で全体の76%を占めた。業種別では値上がりは1業種、値下がりは32業種。プラスは医薬品。マイナス幅が小さいのはサービス、情報・通信、鉱業、石油・石炭、電気・ガスなど。大きいのは水産・農林、その他金融、倉庫、機械、空運、保険などだった。
日経平均採用225種は値上がり24銘柄、値下がり196銘柄。プラス寄与度1位はTモバイルの親会社のドイツテレコムがイリアド社による買収に懐疑的な見方と報じられたソフトバンク<9984>で+3円、2位は大日本住友製薬<4506>で+1円。マイナス寄与度1位は7月の国内ユニクロ既存店売上高が前年同月比4.8%減で9ヵ月ぶりのマイナスになり、客数も12%減と不振だったファーストリテイリング<9983>で-20円、2位はダイキン工業<6367>で-8円だった。
メガバンクは3行とも下落。ノンバンクのアイフル<8515>は売買高2位、売買代金3位で17円高。自動車大手はトヨタ<7203>は1円高だったが、ホンダ<7267>は27円安、日産<7201>は11円安。マツダ<7261>は44円安。それでもダイハツ工業<7262>は燃費を2割改善した軽トラック「ハイゼット」を発表し7円高。いすゞ自動車<7202>の4~6月期はタイの政情不安が影響し売上高4%減、営業利益16%減、純利益23%減の減収減益決算だったが、売買高17位、売買代金16位で22.4円高と逆行高した。ヤマハ発動機<7272>は後場に1~6月期決算を発表して経常利益が60.6%増。通期の経常利益見通しを770億円から850億円に、年間配当を26円から29円に上方修正すると急騰して63円高になった。
電機大手は日立<6501>は15.1円安、東芝<6502>は0.6円高、NEC<6701>は値動きなし。シャープ<6753>は京都大学の田中功教授らと70年の使用に耐えるリチウムイオン電池を開発したと発表し売買高4位だったが6円安。そのシャープの液晶事業を育てた功労者の元社長の片山幹雄氏を10月1日付で副会長執行役員兼最高技術責任者(CTO)に迎えると発表した日本電産<6594>は70円安だった。日立国際電気<6756>はUBSがレーティングを引き上げて21円高。アンリツ<6754>は野村證券が目標株価を引き下げ、51円安で年初来安値を更新していた。
図研<6947>は4~6月期の経常損益が4.2億円で、赤字幅3.1億円拡大を嫌気され129円安で値下がり率1位。欧米での先行投資の負担が重い。ダイキン工業は中国でエアコン販売が好調で、4~6月期で営業利益3割増の540億円前後の業績観測が出て前場に上場来高値を更新しながら失速して219円安。変圧器のダイヘン<6622>は4~6月期の経常利益が35.6%減で47円安になり値下がり率7位。リンナイ<5947>の4~6月期決算は営業利益が50.4%増になり480円高で値上がり率14位だった。
OBARA-G<6877>は10~6月期決算を発表し、スマホ部品加工向けの平面研磨装置が伸びて経常利益33.7%増で通期計画に対する進捗率は93%に達したが、故意か、何かの間違いなのか通期業績の上方修正なし。第4四半期大幅減益見込みへの「お仕置き」で550円安で値下がり率2位。DMG森精機<6141>は野村證券がレーティングと目標株価を引き上げ49円高。日本製鋼所<5631>の4~6月期は売上高4.5%減、営業利益は68.8%減の減収減益決算で38円安で値下がり率12位。各事業に悪材料が多く、仮に原発がゾロゾロ再稼働してもV字回復は期待薄。それでも増収増益の通期見通しは据え置いた。中部電力<9502>はアメリカ産の割安なシェールガスの輸入を1年前倒しで2016年7月から始めると報じられた。浜岡原発の再稼働時期が見通せない中、燃料コストの低下が期待できるが14.5円安だった。