ゼンショー、業績予想を下方修正。休業が響く

2014年08月08日 06:26

 少ない人員で店舗のオペレーションをまかなう、場合によっては1人でオペレーションしなければならない、いわゆる「ワンオペ」といった過酷な労働環境を強いられたためにアルバイト店員などが相次いで退職、その結果人員が不足し店舗を臨時休業させなくてはならなくなるなどの事態を招いた牛丼大手チャーンの「すき家」だが、そうした一部店舗の休業が影響して、「すき家」を運営するゼンショーホールディングス<7550>は6日、2015年3月期通期の連結業績予想を下方修正するとの発表を行った。

 従来の予想では連結最終損益を41億円の黒字と見込んでいたが、これを13億円へと大きく下方修正。前期は11億円の黒字であった。下方修正を行う理由として、人員の不足により「すき家」の一部店舗で休業が相次ぎ売り上げが減少したこと、また深夜帯における1人の人員で店舗をオペレーションする「ワンオペ」解消のために費用が発生したことなどが挙げられている。

 ゼンショーホールディングスは同日に、大きな社会問題ともなった「ワンオペ」を9月末までに解消することを決定している。10月より深夜帯の人員を2名以上とし、この体制がとれない店舗については深夜営業をとりやめるとしている。ゼンショーホールディングスによれば約2000店舗のうち、最大約940店舗で2名以上の勤務体制をとることができず、深夜営業をとりやめる可能性があるとしている。

 さらにゼンショーホールディングスが設置した第三者委員会からの指摘を受け、今後「すき家」の労働組合との間で、1日の労働時間を原則10時間以内にすることや、1ヶ月の平均残業時間を45時間以内にするなどの協議を進めるとしている。

 また併せて、牛丼の並盛りの本体価格を今の250円から20円値上げして270円とすることも発表。27日より値上げが実施される。

 現場で働く人をないがしろにするような労働環境をずっと続けてきたことのツケが、ここにきて大きく跳ね返ってくる形となった。「すき家」で働く人のみならず、店舗に足を運ぶお客の信用を回復するには、まだまだ時間がかかりそうだ。(編集担当:滝川幸平)