【日経平均】まぼろしのSQ値とGPIFに助けられ72円高

2014年08月07日 20:13

 6日のNYダウは地政学的リスクが小康状態の中で買い戻され13ドル高の小幅反発。NASDAQは2.21ポイント上昇。ウォルト・ディズニーの4~6月期決算は1株当たり利益が過去最高だったが0.18%の小幅安。「M&A頓挫組」は、Tモバイルの買収断念が報じられたスプリントは19.0%の大幅下落、TモバイルUSは8.4%下落、タイム・ワーナーへの買収提案を撤回した21世紀フォックスは「解毒剤」の自社株買いが効いて3.3%上昇。悪材料が出たら「投資家連中には自社株買いの鼻薬をきかせとけ」と命じるマーケットをなめた経営者はアメリカにもいるらしい。タイム・ワーナーは12.9%下落した。7日朝方の為替レートはドル円が一時101円台になって102円台前半、ユーロ円が136円台後半で、円高が大きく進行した。

 CME先物清算値は15080円。15000円の大台割れ覚悟の正念場で、年金資金や個人の押し目買いや「日銀砲」「日銀プレイ」、15121円の日足一目均衡表の「雲」の上限、14951円の200日移動平均線、14931円の75日移動平均線の下値サポート力、7月SQ値15084円の「まぼろしのSQのパワー」がどれほど効くのか注目の日経平均は21.07円安の15138.72円で始まる。TOPIXはプラスで始まったがすぐマイナスに変わる。午前9時10分に15085円まで落ちるが急反発。「雲」の中に突っ込んでも7月SQ値の「まぼろしのパワー」強し。TOPIXを露払いに9時47分と10時4分にプラスにタッチし15164円まで反発するが長続きせず、10時台は再び15120円付近まで下げるなどアップダウンが激しい。それは下落続きでようやく底を打ちそうな局面でよく見られる。

 日経平均は「雲」の上限15121円と15140円の間でバウンドが続いた後、10時30分に事態が急変する。オーストラリアの7月の雇用統計が発表され、失業率が6月の6.0%から6.4%に悪化して市場予測も下回った。豪ドルは急落し、上海も香港も含めてアジア市場は全面安。日経平均は再び「雲」の中に落ち10時58分に15080円まで下落するが、そこでも7月SQ値の「まぼろしのパワー」に阻まれて15100円台まで反発した。11時に東京都心部オフィス空室率が発表され0.25ポイント低下すると、15121円を超えて「雲」から抜け出し、前引けは15128円だった。

 後場は下げて再開するが15100円台は維持し、おおむね15100~15120円で「雲」の中で値動きする。しかし二度あることは三度あるで1時20分すぎに急落して1時25分に15061円まで下落してしまう。しかし23円食い込まれて「大台危うし」でも「まぼろしのパワー」はなお健在だったようで、すぐに反発して15110円近くまで戻した。

 そして2時、突然のように先物主導で上昇が始まって「雲」を抜け15150円を超えてプラスに浮上。さらに15200円を突破して2時29分に15243円まで上昇して15250円に迫る。まるで昭和のB級娯楽映画のように、悪漢に何度も追いつめられて我慢して我慢して最後に爆発して事態を一気にひっくり返すような展開。そのクライマックスでお約束の「突然現れる助っ人」はGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)だった。「ポートフォリオの株式配分を12%から20%超に改める方向で政府と調整している」というロイターの速報が入り、アベノミクス相場初の6日続落を覚悟していた東京市場のムードは一変した。GPIFの運用資産は126兆円なので、単純計算では約10兆円の資金が新規に株式市場に流入することになる。

 ところが、B級映画のようにスカッとハッピーエンドとはいかない。利食い売りされ一時15200円を割り込み最後までハラハラ、ドキドキさせるが、結局15200円台に踏みとどまってエンドマーク。終値は72.58円高の15232.37円で6日ぶりに反発した。日中値幅は182円。TOPIXは+6.83の1258.12で高値引け。売買高は22億株、売買代金は2兆508億円で、波乱の一日で売買がにぎわった。

 値上がり銘柄は1213で全体の66%を占め、値下がり銘柄は488。業種別では29業種がプラス、4業種がマイナスだった。上昇セクター上位は非鉄金属、鉱業、情報・通信、水産・農林、その他金融、サービスなど。下位は鉄鋼、石油・石炭など。下落セクターはゴム製品、海運、不動産、空運だった。

 日経平均採用225種は値上がり151銘柄、値下がり66銘柄。プラス寄与度1位はアメリカの携帯端末卸売業ブライトスターの親会社の全株式を6日に取得と発表したソフトバンク<9984>で+8円、2位は好決算を出したセコム<9735>で+6円。マイナス寄与度1位はアステラス製薬<4503>、2位はダイキン工業<6367>で、ともに-2円だった。

 3メガバンクと国際協力銀行が北米の対日輸出向けシェールガス事業に総額1兆円を融資するニュースがあった。みずほ<8411>は1.7円高、三菱UFJ<8306>は2.8円高、三井住友FG<8316>は32円高と反発。野村HD<8604>は6.1円高。財政破たんしたデトロイト市に約1億円を寄付すると報じられたトヨタ<7203>は39円高、ホンダ<7267>は11.5円高。大引け後発表の「JPX日経400」採用銘柄の除外候補に挙げられていたソニー<6758>は25.5円安。やはり除外された。シャープ<6753>は売買高5位で2円高だったが、NEC<6701>8円安、日立<6501>3.2円安、東芝<6502>1.4円安、富士通<6702>0.6円安など電機大手はおおむね不振だった。

 サンデン<6444>は4~6月期決算を発表し、営業利益は9.5倍の30.53億円で市場予測を上回り58円高で年初来高値を更新し値上がり率5位。自動車用オイルシールとフレキシブル基板のNOK<7240>は4~6月期の営業利益が3.1倍で野村證券が目標株価を引き上げ254円高で年初来高値を更新し値上がり率3位に入った。住友電工<5802>はウエアラブル端末にケーブルを使わず無線充電できるシート型部品を開発し37.5円高。小型・業界最薄で簡単に折り曲げられる。

 NTTドコモ<9437>はTOB(公開買い付け)で自己株式を取得すると発表し26円高。約3000億円はNTT<9432>から取得する。そのNTTの4~6月期決算はNTTドコモの減益が響き純利益は11%減の1489億円だったが、野村證券が目標株価を引き上げて売買代金8位に入り253円高だった。