ルフトハンザ ドイツ航空は、10月26日より、羽田―フランクフルト線に「空の女王」こと、最新ジャンボジェットボーイング747?8インターコンチネンタルを就航させる計画であることを発表した。同型機の日本線投入は世界の航空会社で初めてとなる。同時期にスカイマーク<9204>がエアバスA380を日本のエアラインとして初就航させる計画だったが、計画の実現性は絶望的となったことから、一層の注目が集まりそうだ。
ボーイング747は大阪で万博が開かれた1970年に日本の空に初めて登場。パン・アメリカン航空が3月に初めて乗り入れ、7月には日本航空<9201>が羽田からホノルル便を就航させ、国際線を中心に2011年3月まで活躍した。一方、全日本空輸<9202>は1979年に初めて導入し、発展型の747-400型機を90年に導入。最も多い時で39機を保有していたが、最後の1機も2014年3月31日、那覇発羽田行きの便で最終飛行を終えた。航空機需要が頭打ちになって大型機の必要性が薄れたことや、新型機と比べて燃費が劣るというのがその理由だ。
日本と対照的な方針を打ち出すのがドイツのルフトハンザ航空だ。747-400の後継機にあたる最新鋭の747-8を12年6月にフランクフルト―ワシントン線に就航させ、順次デリー、ロサンゼルス、香港、メキシコシティ、シカゴ、ソウル、サンパウロなど世界の主要都市に就航させている。
747-8の運航コストを747-400型機と比較すると、1フライト当たりでは2%、シートマイルにすると約13%低減している。また、エアバスA380型機との比較では、機体重量が1座席当たり10%以上軽量で、燃料消費も11%向上することから、1フライト当たりでは21%、シートマイルで6%以上のコスト低減となる。さらに、747-8型機は、各空港での追加工事を必要としない唯一の大型機であることから、各航空会社に対しては、路線網の拡張という新たな可能性を提供している。
リーマンショック後の航空需要の減少を受け、日本のエアラインは効率性の高い中型双発機を充実させてきた。しかし世界のマーケットでは大型機のマーケットは確かに存在していた。世界経済の回復とともに大型機の需要も確実に回復している。「空飛ぶホテル」と言われるエアバスA380、そして「空の女王」ボーイング747―8。今も世界の空で両雄の熱い戦いが繰り広げられている。(編集担当:久保田雄城)